中国が韓中暫定水域内に建設した「人工島」、海上の境界に影響を及ぼす恐れも【独自】

廃棄されたボーリング船の固定を確認

専門家「海上の境界に影響が出る恐れ」

政界「中国が海洋主権を侵害」

 中国は習近平・国家主席が2013年に「海洋強国建設」を宣言したが、その後南シナ海をはじめ西海など複数の海域で軍事訓練の回数を増やし、探知機器が搭載された小型の海上構造物を大量に設置している。2021年にはこれらの海域を侵犯した外国船舶に対して武器を使用する権限を法律で定めた「海警法」が発効した。実際に中国は今年2月、韓国の海洋調査船オンヌリ号が中国の構造物を確認する目的で接近した際、警備担当者が凶器を持ってゴムボートに乗り、航路をふさいだため両国の海洋警察船が2時間にわたり対峙(たいじ)する事態も発生した。

 中国の構造物が原因で西海の水質が汚染される懸念も浮上している。韓国海洋科学技術院の関係者は「中国の主張通り深藍1号と深藍2号が30万-40万匹のサケを養殖できる養殖場であれば、大量の飼料や抗生物質が投入されるはずだ」「また深藍は直径70メートル、高さ71メートルに達するが、これほどの構造物が海に長時間固定された場合、重金属により海が汚染される恐れもある」と指摘する。そのため今年2月にオンヌリ号は構造物周辺の水質チェックなどを試みたという。

 外交安全保障の専門家は「韓中暫定措置水域に複数の人工施設が建設された場合、これらが漁業活動や船舶の通行に影響を及ぼす恐れがあるため、韓中漁業協定違反の恐れが出てくる」と指摘する。国際海洋法裁判所で事務処長を務めた金斗泳(キム・ドゥヨン)氏は「国連海洋法により構造物周辺には半径500メートルの安全地帯を設置できるが、中国が複数の構造物を設置した場合は数十平方キロの安全地帯が設定されるため、韓国船舶が航行できなくなる恐れがある」と警告した。

 世宗研究所安保戦略センターの申範澈(シン・ボムチョル)所長は「西海は経済的・軍事的・外交的にも戦略的要衝だ」とした上で「政府は中国による疑わしい活動を事前に阻止し、南シナ海のような紛争地にならないよう積極的に管理を進めていかねばならない」と要求した。

 政界でも超党派での対応を求める声が上がっている。国民の力は20日「固定構造物設置疑惑については中国の明確な説明が必要だ」とした上で「中国に対して国際秩序に適合した責任ある行動を求める」「国会次元での解決策を与野党に関係なく進めていくべきだ」などと要求した。最大野党「共に民主党」も声明を出し「中国は無用な紛争を誘発する恐れのある構造物設置を直ちに中止し、韓国政府の調査に協力するよう願う」との考えを表明した。

盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者

【写真】中国が西海の暫定措置水域(PMZ)に設置した海底固定構造物と深藍2号上部の海面上監視施設

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲グラフィック=宋允慧(ソン・ユンヘ)
  • 中国が韓中暫定水域内に建設した「人工島」、海上の境界に影響を及ぼす恐れも【独自】

right

あわせて読みたい