韓国大法院(最高裁に相当)が22日、控訴審で無罪の言い渡された進歩(革新)系の李在明(イ・ジェミョン)「共に民主党」大統領選予備候補の公職選挙法違反事件について、大法官(最高裁裁判官に相当)全員が参加する全員合議体に回付してすぐさま審理に入った。事件の割り当て当日に事件を全員合議体に回付することも、すぐさま審理に入ることも、いずれも異例の措置だ。裁判を急ぎたいという意味だと見ることができる。曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長はこれまで、速やかな裁判を強調してきた。
選挙法の裁判は一審6カ月、控訴審と上告審はそれぞれ3カ月以内に終わらせるように法で定めている。1年以内に確定判決を出せ、ということだ。この事件は迅速に裁判をしなければならない。李候補の大統領選挙出馬資格と直結するからだ。ところが一審、控訴審だけで2年6カ月もかかった。
一審は、李候補が先の大統領選挙の際、栢峴洞不正疑惑に関連して「国土交通部(省に相当)からの脅迫で栢峴洞の敷地用途を上方修正した」と発言したことなどが虚偽だとし、懲役刑を言い渡した。この量刑通りであれば、李候補は議員職を失い、大統領選挙に出馬できない。ところが控訴審は、李候補の発言は意見の表明や誇張された表現に過ぎないとして無罪を宣告した。韓国国民は混乱するほかない。
大法院が急いで6月3日より前に確定判決を下すとしても、意味は半減する。無罪の確定であれば、少なくとも選挙法違反事件に関する李候補の不確実性は解消される。だが有罪の趣旨で控訴審判決を破棄し、再び裁判をせよと事件を高裁に送り返す破棄差し戻しをしたら、問題の終わりではなく始まりになる。確定判決が出るまでかなりの時間がかかることは避けられず、大統領選前の確定判決は事実上不可能だからだ。だとすれば、李候補の大統領選出馬資格を巡って社会的対立が起きるだろう。
この状況は裁判所が自ら招いた。一審の裁判長が裁判を1年4カ月も引き延ばして突然辞表を出す、ということもあった。ここに早期の大統領選挙が絡んで、複雑な状況になったのだ。それでも大法院だけは最善を尽くして早く判決を出してほしい。それが韓国国民に対する、法服を着た人々の道理だ。