先日行われた韓中海洋協力対話で中国は韓国の離於島海洋科学基地について「中国の排他的経済水域(EEZ)内にある」と問題提起してきたという。2001年の韓中漁業協力に基づき両国が共同管理している暫定措置水域(PMZ)に中国は一方的に固定式構造物を設置したが、これに韓国が抗議した際にPMZの外にある離於島に難癖を付けてきたのだ。問題の本質とは何の関係もない論点ずらしに他ならない。
離於島から韓国国民が居住する馬羅島までわずか149キロだが、これに対して離於島と最も近い中国の無人島までは247キロも離れている。両国の海域が重なる場合、双方の海岸線から同じ距離の中間地点を境界画定の基準とする「等距離原則」で考えても、離於島の管轄権は明らかに韓国にある。そのため韓中漁業協定締結6年前の1995年、韓国は離於島海洋科学基地の建設を開始した。
これまで中国は「背後の人口や海岸線の長さもEEZ確定に反映すべきだ」として海洋の境界画定交渉を引き延ばしてきた。「中国の国土がより広く、人口も多いのでそれに比例して西海の海もより多くが自分たちのものだ」という明らかに無理のある主張だ。時間が流れ中国の国力が韓国を圧倒するようになれば、自分たちの主張が通じると計算しているのだろう。韓国が主張するEEZと近い海域に中国は構造物を建設し、その数を少しずつ増やしているが、これもこのような計算に基づくものだ。
今回の韓中海洋協力対話の翌日、国会農林畜産品海洋水産委員会は中国による一連の動きに対抗するため605億ウォン(約60億3000万円)の予算を可決したという。幸いなことだ。内訳は韓国の構造物設置に600億ウォン(約59億8000万円)、研究費に5億ウォン(約5000万円)だ。この予算が減額されることなく本会議で可決されるよう政府と国会は特別に配慮すべきだ。
この際より多くの予算を投入し、離於島海洋科学基地の拡張・補修も検討すべきだ。今しっかりと対策を取らず対応を先送りすれば、中国は韓国を一層軽んじ本格的な西海工程に乗り出してくるだろう。