4月25日の進水式で金正恩総書記は、娘のキム・ジュエ氏と共に乗艦し、艦内を視察した。さらに、艦名の由来となった崔賢(チェ・ヒョン)元人民武力相のレリーフ前では膝を突き、献花を行った。崔賢は崔竜海(チェ・リョンへ)最高人民会議常任委員長の父親でもある。金正恩総書記は進水式の演説で「われわれは来年度にも、こうしたクラスの戦闘艦船を建造するだろう。可及的速やかに、さらに大きな巡洋艦や、おのおの異なる護衛艦も建造する計画を持っている」「遠洋作戦艦隊を建設しようと思う」と述べた。
北朝鮮の海軍力は、まだ韓国軍とは大きな格差があるというのが一般的な評価だ。韓国海軍はイージス駆逐艦4隻など駆逐艦12隻を保有しており、フリゲートも計17隻保有する等、通常戦力において北朝鮮海軍を圧倒している。北朝鮮は潜水艦戦力において韓国を上回っているが、韓国軍の対潜能力も強化されており、実質的な脅威にはなり難いという。だが北朝鮮は海軍力の強化に拍車をかけており、韓国の新型駆逐艦配備計画(KDDX事業)が遅延する中、海軍力格差が次第に縮まることもあり得る、という懸念が出ている。保守系の旧与党「国民の力」のユ・ヨンウォン議員は4月27日、「駆逐艦『崔賢』はフェーズドアレイ・レーダーと対空・対艦・対地能力まで兼ね備えた初の『北朝鮮版イージス艦』であって、核弾頭ミサイルが搭載されたら韓国にとっては災厄になりかねない」とし、「原子力潜水艦の建造に続く『崔賢』の進水は、ウクライナ戦争への参戦の代価としてロシアから最先端の軍事技術の移転を受けている兆候と見ることができる」と語った。ただし、写真で公開されたフェーズドアレイ・レーダーの実際の能力および戦術核ミサイル搭載の可能性等は、さらなる分析が必要という指摘も出ている。
ヤン・ジホ記者