韓国の警察が先月、青瓦台(大統領府)の特別活動費記録がある大統領記録館に対する家宅捜索令状を申請し、同月、ソウル高裁から令状の発行を受けたと伝えられた。警察は文元大統領が就任した2017年5月から2021年12月までの約4年7カ月間、金正淑夫人側が少なくとも1億ウォン(現在のレートで約1000万円)に達する洋服・韓服など衣類約80着を購入していたことを把握したとのことだ。金正淑夫人は強要および業務上横領、国庫損失教唆などの疑惑がある。
警察は、1億ウォンのうち相当な金額が私費ではなく青瓦台の特別活動費で支払われたとみており、特別活動費の使用内訳が非公開で保管されている大統領記録物の家宅捜索により、これを確認する方針だという。
本紙の取材を総合すると、警察は昨年から青瓦台の予算を担当する総務秘書官室および大統領配偶者担当の第2付属室所属の職員を相次いで調査したということだ。その結果、「ユ元第2付属室秘書官らが金正淑夫人の服代を払うため特別活動費を100万-200万ウォンずつ請求した」という趣旨の供述を確保したという。文元大統領の在任当時、青瓦台関係者たちは金正淑夫人の服代を巡る疑惑が広がると、「服代などの私的経費を政府費用として決済したことはない」「服代はカードで購入した」としてきた。警察はしかし、ユ元秘書官が金正淑夫人お気に入りのデザイナーの娘で、総務秘書官室のヤン行政要員らと一緒に衣類関連業者を訪れ、領収証の処理なしに全額現金で服代を支払っていたことをつかんだという。ユ元秘書官とヤン行政要員は文元大統領の娘(飲酒運転・違法宿泊業運営で起訴され、一審判決を不服として控訴した被告人ムン・ダヘ)にも現金を送った疑いで検察の捜査を受けてきた。
警察はまた、金正淑夫人に衣装などを販売した衣類業者および業者関係者の口座の押収捜索などを通じ、金正淑夫人側が「官封券」(造幣公社による帯封が付いたままの新札)でも服代を支払っていたことを確認したという。警察は、金正淑夫人側が当時、官封券で少なくとも1200万ウォンを支払ったと把握しているとのことだ。
ソウル中央地検は今年2月、金正淑夫人の観光目的によるインド訪問疑惑およびフランス国賓訪問時のシャネル製ジャケット個人所蔵疑惑などに対し、「嫌疑なし」として不起訴処分としながらも、「服代の特別活動費使用については捜査を継続する予定だ」としてきた。警察も検察と共に同疑惑を捜査してきた。
一方、文元大統領は自身の収賄疑惑を捜査・起訴した検事らを高位公職者犯罪捜査処(公捜処)に告発した。全州地検は24日、文元大統領の元娘婿の「タイ・イースタージェット航空特別採用」疑惑に関連し、文元大統領を特定犯罪加重処罰などに関する法律違反(賄賂)疑惑で在宅起訴した。文元大統領弁護団は同日の記者会見で、「文元大統領の元娘婿に関する捜査は元大統領と家族を苦しめ、侮辱するための政治的目的をもって結論が決まっていた『謀られた』捜査だった」として、担当検事らを職権乱用および被疑事実公表などで告発したと伝えられた。これに対して全州地検は「該当の捜査は適法な手続きにより確保した証拠と法理に基づき処理されたものだ」と述べた。
ク・アモ記者、カン・ジウン記者