韓国国会法制司法委員会で委員長を務める最大野党・共に民主党所属の鄭清来(チョン・チョンレ)議員が4月29日、「選挙は勝っている状態から行うもので、選挙運動期間は勝利を確認する期間だ」と発言した。そして、「空を見上げたら、朴槿恵(パク・クンヘ=前大統領の得票率)より大きい数字が降りてくるのを見た」とも言った。
【グラフ】党内予備選で歴代最高の得票率 共に民主・李在明候補
複数の大統領選挙支持率世論調査で、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補は与党・国民の力をはじめとする他の大統領選挙候補者たちを大差で引き離してリードしている。このまま行けば大統領選挙の勝利は目に見えていると思っているのだろう。それでも候補者と政党は謙虚な姿勢をもって有権者の前で政策を説明し、支持を訴えるべきだ。選挙は誰かのための要式行為(一定の形式に従って成立する法律行為)になることはないし、なってはならない。
共に民主党はこれまで、政府・裁判所・検察・監査院に対して随時圧力を加え、占領軍のような振る舞いを見せてきた。李在明候補の選挙法違反上告審判決について、共に民主党は「大統領選挙に関与するな」と大法院(最高裁判所)を公に非難した。自分たちにとって不利な判決を下した判事に対しては「懲戒処分しろ」と言った。文在寅(ムン・ジェイン)政権時の統計操作といった不正を監査した監査院に対しては「解体に準ずる改革の対象だ」とも言った。
大統領室には「何もするな」と言い、韓悳洙(ハン・ドクス)権限代行には「大統領記録物を指定するな」と要求した。李在明候補は6大都市銀行の頭取を全員呼び集めて懇談会も開いた。共に民主党のベテラン議員は元法務長官で野党・祖国革新党代表だった曺国(チョ・グク)受刑者について「新政権が発足すれば必ず赦免・復権される」と述べた。大統領選挙での勝利を念頭に、任期開始後60日間、大統領職引き継ぎ委員会を設置する法案や地域貨幣の増額案も出した。そうした反面、政界の重鎮や団体、多くの国民が望む大統領選挙前の改憲議論には事実上、反対している。党内の大統領選候補者を選ぶ際の討論会も2回にとどまった。大統領選挙に関して変数になるようなことはすべて避け、勝利を確実にしようという考えしか頭にないようだ。
しかし、大統領選挙まではあと1カ月以上残っている。今後、公約発表や各党の大統領選候補者による討論会も続くだろう。国民はこれをすべて見た上で判断する。だが、共に民主党にとってこうした過程はすべて煩わしい通過儀礼なのだろうか。政党と政治家は、いかなる場合でも国民の前では謙虚でいなければならない。