「被告人が大統領になったら裁判停止」 李在明無罪破棄で刑事訴訟法の改正に動き出した共に民主党

「被告人が大統領になったら裁判停止」 李在明無罪破棄で刑事訴訟法の改正に動き出した共に民主党

 韓国最大野党・共に民主党が、被告人が大統領に当選したら進行中の刑事裁判手続きを停止できるようにする刑事訴訟法の改正案を推進することが分かった。大法院(最高裁判所)全員合議体が、公職選挙法違反罪に問われた李在明(イ・ジェミョン)同党大統領選候補に対して無罪を言い渡した二審判決を破棄し、ソウル高裁に差し戻したことを受けて、大統領選有力候補者の同氏当選を前提に、批判を断ち切るために法律を変えようとしているのだ。

【表】大法院の「李在明破棄差し戻し」判決を糾弾する共に民主党

 共に民主党の院内首席副代表を務める金容民(キム・ヨンミン)議員は2日、被告人が大統領当選者となった場合、公判手続きを中止するという内容の刑事訴訟法改正案を代表発議した。現行法に「被告人が大統領選挙に当選した場合、裁判所は当選した日から任期終了時まで決定により公判手続きを停止しなければならない」という条項を新設するというものだ。

 憲法第84条に基づき、現職大統領は不訴追特権を有する。ただし、同条項が既存の裁判にも適用されるかどうかを巡っては、学界と法曹界で意見が分かれている。大法院は有罪の趣旨で二審判決を破棄し、ソウル高裁に差し戻しただけに、憲法解釈を巡る社会的混乱は避けられない状況だ。執権の可能性が高まった共に民主党は、法を改正して「大統領の刑事裁判手続き停止」を明確にしようとしているのだ。

 共に民主党は、所管常任委員会である国会法制司法委員会での改正案処理を急いでいる。同党所属の鄭清来(チョン・チョンレ)国会法制司法委員会委員長はこの日、同委員会の全体会議で、「大統領に当選した被告人に対して憲法第84条が適用される在職期間に刑事裁判手続きを停止するようにし、憲法上の不訴追特権が手続き的にも実現されるようにすべきだ」とした上で、午後にも同委員会に改正案を上程すると述べた。

 同党の趙承来(チョ・スンレ)選挙対策委員会首席広報団長も同日、選対会議後、「憲法上、明白な(大統領不訴追特権という)解釈があるのにもかかわらず、恣意(しい)的な解釈が可能ならば、国家的衝撃や混乱は深刻になるだろう」「憲法解釈をより明確に法律に明示しなければならないという意見があるので、それに従って法改正を進めるものだ」と述べた。

 李在明氏の犯罪容疑そのものを事実上なくそうとする趣旨の法改正案も飛び出した。同党の朴熙承(パク・ヒスン)議員は昨年11月、「虚偽事実公表罪」を削除し、当選無効刑(選挙法違反などの罪名により当選者の当選を無効とする刑罰)の基準金額を100万ウォン(約10万円)から1000万ウォンへと10倍に引き上げる内容の公職選挙法改正案を発議した。大統領の任期終了後、党自体が大混乱に陥りかねないという懸念からだ。

 もし、共に民主党の意図通りに刑事訴訟法が改正され、公職選挙法違反事件の裁判が停止したとしても、大統領任期が終われば破棄差し戻し審で有罪が確定する可能性が高い。罰金100万ウォン以上の刑を受ければ、共に民主党は第20代大統領選挙の時に受け取った選挙補填(ほてん)金434億ウォンを返還しなければならない。

イ・スルギ記者

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