■ペクヒョン洞発言に関する控訴審の判断を「歪曲」と批判
ペクヒョン洞発言に関しては「歪曲(わいきょく)」という表現も2回登場した。大法院は「原審(控訴審)は被告人(李候補)が具体的に言及した『国土部の革新都市法義務条項による圧迫』『義務条項に従わなければ職務遺棄を問題にするという脅迫』を度外視したまま、『国土部の法律による要求』と、発言の意味を歪曲して解釈した」と指摘した。
すなわち、ペクヒョン洞の敷地に関する大幅な変更を巡って特別待遇疑惑が持たれていた李候補(当時は京畿道知事)が、2021年10月の国政監査で自ら釈明した内容は、上記のように(1) 国土交通部から革新都市法上の義務条項に従って用途変更をしなければならないという圧迫があった(2) 義務条項に従わなければ職務遺棄を問題にするという脅迫があった-というものに整理されるが、控訴審はそうせずに「国土部の法律による要求に従って用途を変更した」と、発言の意味を歪曲したのだ。
その上で控訴審は、当該発言を虚偽とは断定できないとしたが、大法院は、こうした解釈の方法は自然に連結された発言の意味を一般選挙人が通常において理解する方式ではない、と批判した。
ある法曹関係者は「大法院が『歪曲』という表現まで使うというのは、控訴審の解釈について、単なる誤りや一審との見解の違いにとどまらず、無罪判決を与えようという意図に基づいたとみているようだ」とし、「『誤り』や『法理誤解』とは次元が違う。控訴審裁判部は深刻に受け止めるべき部分」と語った。
判決文には「分節」も7回登場する。これは、控訴審がペクヒョン洞発言を5つの部分に切って「国土部の脅迫」の部分をペクヒョン洞ではない別の敷地に関するものと解釈したやり方に関連している。
大法院は「一つの答弁で連結された発言内容を、事後的に細分化したり人為的に分節したりする方法で再構成し、発言の意味を解釈するのは妥当ではない」「事後に人為的に分節した後、各区間の個々の発言を合致させたり再び組み合わせたりして、連結された発言の意味を解することは、『一体として自然に連結された発言の意味』を一般選挙人が通常において理解する方式とはいえない」と指摘した。
判事出身のある弁護士は「控訴審判決が、発言の趣旨を全体的な流れで見るべきだという常識から外れていることを、大法院がさまざまな角度から指摘した」と語った。
梁銀京(ヤン・ウンギョン)記者