韓国最大野党・共に民主党は、公職選挙法違反に問われた李在明(イ・ジェミョン)同党大統領選候補の二審無罪判決を破棄し、ソウル高裁に審理を差し戻すという大法院(最高裁判所)の判断が出たのは早すぎるとして、大法院を連日攻撃し続けている。これに対して大法院は「政界が上告審手続きを糊塗(こと)している(=ごまかしている)ものだ。記録を全て読まなければ判決できないわけではない」と反論した。
共に民主党の金民錫(キム・ミンソク)常任共同選挙管理委員長兼首席最高委員は4日、国会の記者会見で、「大法官(最高裁判事)たちはChatGPT(生成AI)より速い速読力で6万ページを読破したということになる。国民は事実かどうか確認したいと思っているだろう」と述べ、電子記録を閲覧したかどうかを公開するよう大法院に要求した。
金民錫委員長は前日の3日にも交流サイト(SNS)で、「大法官10人は二日間で6万ページの電子記録を全て閲覧したのか。閲覧所要時間などあらゆる記録を公開してほしい」と主張した。このため、野党寄りの「検事を検査する弁護士の会」は大法官らの訴訟記録閲覧記録など全過程を公開するよう求める100万人署名運動を始めた。
しかし、大法院は4日、「6万ページ問題は政界が上告審手続きを知らずに糊塗しているものだ。基本的かつ合理的な議論を越えて、国民に誤った情報を伝えてはならない」との見解を示した。その上で、「上告審は原審判決に対し事後的に法律的判断をするものだ。上告理由書に含まれていない事実関係まで一つ一つ調べることが本質ではない」と説明した。原則的に大法院は上告理由書にある制限的な争点しか審理できず、これを越えて判断すれば違法となる可能性があることも強調した。事実、李在明候補者に対する判決文でも、大法院は「二審の裁判所が法理を誤解した」という点を数回指摘しているが、事実関係を問題視することはなかった。
同件は3月28日に大法院に受理された。原審の事件記録の原文だけでなく、スキャンされた電子記録も大法院に一緒に渡された。その時点から大法官と少なくとも10人以上の刑事専門担当裁判研究官が事件記録を集中検討し、分析に着手したという。
千大燁(チョン・デヨプ)法院行政処長も2日、国会法制司法委員会の懸案質疑時に「刑事記録電子スキャンで(大法官たちが)記録を全てご覧になったと確認できている」と述べている。これは、共に民主党所属議員たちが「6万ページに達する記録を短時間で全て検討したのか」と疑問を呈したことに対する説明だった。
大法院関係者は「大法官によって事件を検討する方式は違う」とした上で、「直接記録を閲覧したり、裁判研究官の報告書を中心に必要な部分だけを抜粋して検討したりすることもある」と説明した。また、「政界の一部が問題視している『6万ページ』の記録は事実判断に関するものがほとんどだ。事実関係に対する判断はさておき、上告理由の判断に必要な記録を十分に読み込み、合理的判断を下すことができるのが大法院だ」と述べた。
パク・ヘヨン記者