「スパイ法改正を巨大野党が妨害」 尹前大統領が主張した戒厳令宣布理由の一つだった

談話で中国人による米空母撮影に言及
「巨大野党が国の安全保障と社会の安全に脅威をもたらしている」
憲法裁判所での弾劾審判最終陳述でも「スパイ」に25回言及し戒厳令の正当性を主張

「スパイ法改正を巨大野党が妨害」 尹前大統領が主張した戒厳令宣布理由の一つだった

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領は昨年12月3日に非常戒厳令を宣布した理由の一つとして「スパイ法改正保留問題」に言及した。「外国人がスパイ行為をしても現行法では処罰が不可能で、そのため法改正に取り組んだが、共に民主党がこれを妨害し国の安全保障に大きな害をもたらしている」と主張したのだ。

【表】スパイ罪適用拡大に向けた韓国国会での議論

 尹前大統領は昨年12月12日に戒厳令宣布の背景について説明する談話で「巨大野党が国の安全保障と社会の安全にまで脅威をもたらしている」と主張し、同年6月に3人の中国人が釜山で米空母を撮影し摘発された事件に言及した。また尹前大統領は40代の中国人がドローンで国家情報院を撮影し摘発された事件についても説明した。中国人によるスパイ行為が疑われる2件の事案について、その内容を詳細に説明したのだ。

 その上で尹前大統領は「しかし現行法では外国人によるスパイ行為をスパイ罪で処罰することができない」「この状況を改善するため刑法のスパイ罪条項を修正しようとしたが、巨大野党がこれを頑強に拒んでいる」と主張した。これらの状況を考慮し、戒厳令宣布に至ったというのが尹前大統領の主張だった。共に民主党は戒厳令前日の昨年12月2日、国会法制司法委員会全体会議でスパイ法改正の通過に反対した。

 尹前大統領は今年2月25日に憲法裁判所で開かれた弾劾審判の最終陳述でも「スパイ」という言葉を25回も使い、スパイ法改正を繰り返し訴えた。当時尹前大統領が主張し発言した内容の一例を挙げると「中国では写真1枚を間違って撮影するだけで韓国国民を勝手に拘禁する非常に厳しい『反スパイ法』を施行しているが、巨大野党は産業スパイ行為を阻止するスパイ罪を定めた法律の改正さえ妨害している」「最近はスパイなどどこにいるのかと言う人たちもいるが、スパイはいなくなったのではなく体制を転覆する活動へと一層進化している」「スパイを捕まえることもできず、捕まえてもまともに処罰さえできないのが現状だ。こんな状況が果たして正常と言えるのか」「巨大野党は民主労総の擁護に忙しく、国家情報院の対共捜査権剥奪だけでなく国家保安法の廃止まで主張している。要するにスパイを捕まえるなということだ」などだ。

盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 「スパイ法改正を巨大野党が妨害」 尹前大統領が主張した戒厳令宣布理由の一つだった

right

あわせて読みたい