■米国の関税に共同対応を模索したが…
EUは昨年10月にも中国製EVに最高45.3%の高率関税を課す案を示し、中国と関税戦争を繰り広げました。中国もそれに対抗して、EU産の豚肉、乳製品などに対する反ダンピング調査を始めました。
しかし、トランプ政権が全方位的に関税爆弾を浴びせたことで、EUと中国はしばし休戦し、共同対応を模索してきました。フォンデアライエン欧州委員長は4月8日、中国の李強首相と行った電話会談で、「欧州と中国は米国の関税による世界的な混乱に対応する責任がある」と述べました。李強首相も「中国と欧州は自由貿易の支持者として、協力と意志疎通を強化すべきだ」と応じました。
世界各国は対米輸出の道が閉ざされた中国製品が自国に押し寄せることを懸念しています。インドは4月21日、低価格の輸入鉄鋼製品に12%のセーフガード(緊急輸入制限)関税を課すことを決めました。押し寄せる中国製の安価な鉄鋼製品を念頭に置いた措置だと分析されています。フォンデアライエン欧州委員長も最近、「米国の関税爆弾の影響で中国製貨物がヨーロッパに押し寄せて輸入が増加すれば、EUレベルで保護措置を取るだろう」と発言しました。
■輸出の道が閉ざされた中国製品の殺到警戒
英国ではトランプ米大統領が行ったように、中国製の安価な製品の流入を防ぐため、小額免税制度を廃止すべきとの主張が出ています。英家電小売業者カリーズのバルドック最高経営責任者(CEO)はフィナンシャル・タイムズのインタビューに対し、「中国製の安価な製品がダンピング価格で欧州に集まる兆しを見せている。EUは中国製品に対する小額免税制度の廃止を検討中だが、イギリスも遅れてはならない」と指摘しました。
中国の徐飛洪駐印大使は4月29日、インド紙への寄稿を通じ、「中国は世界貿易機関(WTO)の補助金ルールと市場規則を厳格に順守しており、ダンピングと悪性競争で他国の産業と経済発展を妨げることはない」と主張しました。米中関税戦争の余波で中国製のダンピング製品がインドに押し寄せることを心配しないでもよいとの趣旨だが、説得力に欠けました。
液晶パネル大手である中国の京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)は2010年から受け取った数十億ドル規模の政府補助金で低価格製品を生産し、世界最大手にのし上がった企業です。同社の昨年の財務報告書を見ると、この3年間に受け取った政府補助金は105億人民元(約2080億円)でした。同じ期間に上げた純利益154億元の68%に相当する金額です。世界最大手の液晶パネルメーカーでさえこれなのだから、他社は言うまでもないでしょう。
崔有植(チェ・ユシク)記者