「韓国人の54.9%は慢性的な鬱憤を抱えている」 公平性に対する信頼度と相関 ソウル大研究チーム

「世の中は不公平」69.5%

 韓国人の半分以上は「長期的鬱憤(うっぷん)状態」だというアンケート結果が発表された。3人に1人はうつ状態だったが、30代や低所得層であるほど鬱憤を多く抱えていることが分かった。また、70%は「世の中は不公平だ」と回答したが、公平性に対する信頼度が低いほど鬱憤の程度が高かった。

【グラフ】韓国のうつ病患者数の推移と年齢別患者数

 これは、ソウル大学保健大学院研究チームが7日に発表した「メンタルヘルス増進と危機に備えるための調査」で分かったものだ。アンケート調査企業のK statリサーチを通じ、先月15-21日、全国満18歳以上の男女1500人を対象に調査した。

 鬱憤の程度の測定は「1年間ストレスをひどく受けたこと」など19問の質問に対し、「0点(全くなかった)」から「4点(たくさんあった)」までで回答してもらった。その結果、「中程度の鬱憤」(1.6-2.5点)が42.1%、「深刻な鬱憤」(2.5点以上)が12.8%だった。この二つを合わせると54.9%で、韓国人の半分以上が慢性的な鬱憤を抱えていることが分かった。昨年の調査では「中程度の鬱憤」が39.9%、「深刻な鬱憤」が9.3%で、合計49.2%だったので、この1年間で5.7ポイント上がったことになる。ただし、新型コロナウイルス感染症が大流行した2021年(「中程度の鬱憤」44.3%、「深刻な鬱憤」13.9%)よりはやや低かった。

 全般的なメンタルヘルスの程度を問う項目について、回答者の48.1%は「良くない」と回答した。「普通」は40.5%で、「良い」は11.4%にとどまった。「良くない」と答えた人々が挙げた原因で最も多かったのは「競争と成果を強調する社会のムード(37.0%)」だった。次いで多かったのは「他人・集団の視線や判断が基準となる社会のムード(22.3%)」だった。「政治・社会・経済の変動、大型災害などで個人のメンタルヘルスに問題や障害が生じる可能性がある」ことには91.1%が「そう思う」と答えた。

 そうした一方で、「公平さ」については否定的な認識が強かった。「基本的に世の中は公平だと思う」という質問項目に対し、「そう思わない」という回答は69.5%だった。政治・社会などの事案別に鬱憤の程度を測定した結果、「立法府・司法府・行政府の不正や誤りの隠蔽(いんぺい)」に鬱憤を感じたという回答が85.5%で最も高かった。次いで「政治・政党の不道徳と腐敗」は85.2%、「安全管理不良による医療・環境・社会の惨事」は85.1%だった。

 回答者の 47.1% は「過去 1 年間に健康に影響を与えるほどの深刻なストレスがあった」ことも分かった。「40代」(55.4%)、「30代」(51.7%)と、「月収200万ウォン(約20万円)未満」の人(53.8%)が特にストレスに対して弱かった。ストレスを引き起こす原因(複数回答)は「個人・家族の健康状態の変化」(42.5%)、「経済レベルの変化」(39.5%)という回答が比較的多かった。

 また、回答者の27.3%は「これまでの役割や責任を担うのが難しいほどのメンタルヘルスの危機があった」と回答した。このように回答した人のうち51.3%は「自殺を考えた」と、13.0%は「実際に試みた」と答えた。だが、「メンタルヘルスの危機があった」という人のうち、60.6%は「助けを求めなかった」と回答した。その理由は「他人の視線やレッテルを貼られることに対する恐怖」(56.2%)のためだった。

 調査対象者全体に「ストレスがあるときの対処法」を複数回答で答えてもらったところ、「家族や友人に打ち明けて助けを求める」という回答が39.2%で最も多かった。その一方で、「一人で我慢して何もしない」という回答も38.1%だった。

 調査を総括したユ・ミョンスン教授は「社会の安全・安定性を高く維持し、社会的信頼を堅固にすることが個人と集団のメンタルヘルスのための道だ。医療的努力はもちろん、社会的次元でメンタルヘルス水準を高めようとする努力が必要だ」と語った。

オ・ギョンムク記者

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