中国の受領拒否でも悠然とする米ボーイング…中国旅客機が関税の犠牲になった理由とは

■ボーイングは悠然 「購入希望は多い」

 中国は米国による145%の関税爆弾に対抗し、米国製品に125%の関税を課しましたが、一部の宇宙航空分野の部品については対象から除外しました。米国による供給中断に備え、在庫を確保することが目的とみられます。COMACは昨年1年間で13機のC919を生産しましたが、今年第1四半期の生産はたった1機にとどまったということです。

 中国の航空各社は米国の関税爆弾に対する報復として、最近ボーイング製の旅客機3機を受け取らずに送り返しました。中国当局が報復としてボーイング機の購入を禁止したためです。4月末には塗装まで終えた厦門航空のボーイング737MAXが米シアトルに戻ってきた様子が報じられました。ボーイングが今年中国に引き渡す旅客機は計50機ですが、中国の航空会社はそれをすべて受領しない立場とされます。

 しかし、ボーイングは悠然と構えています。同社のケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は4月23日、米エアデータニュースのインタビューに対し、「中国の受領拒否が経営に大きな影響を与えることはないだろう。(送り返された)機体を皆が欲しがっている」と発言しました。マレーシア航空などが既に購入意向を表明しています。

 ボーイングは最近、旅客機の発注が殺到し、目が回るほど忙しい状況です。737MAXも納期を短縮するため、月間の生産を30機から38機に引き上げようとしています。

■中国は戦線拡大を自制 「正常な商業協力を支援」

 中国はボーイング機3機を豪快に送り返しましたが、戦線拡大は自制しているようです。中国商務部報道官は4月29日、ボーイング製旅客機の受領拒否に関する質問に対し、「米国の関税を巡る横暴で全世界のサプライチェーンが大打撃を受け、国際航空運輸市場も混乱に直面している。多くの企業は正常な貿易・投資活動ができず、中国の航空会社とボーイングはいずれも大きな被害を受けた」とし、「中国は両国企業による正常な商業協力関係を継続的に支援したい」とも語りました。

 中国は米国に次ぐ世界第2位の航空市場です。この市場を生かして自国の航空産業を育てるためにC919を開発しました。しかし、重要部品を全て欧米企業に依存しているため、米国の顔色をうかがうしかない状況です。中国国内だけで運航するC919を国際線に投入するには、欧米の航空安全当局による認証も取得する必要があります。

 中国がレアアースの輸出を規制したように、米国がC919部品の供給中断に乗り出すのではないかとの見通しが示されています。英国の航空・防衛産業アナリスト、サッシュ・トゥサ氏はFTに対し、「米国はまだ供給中断について言及していない。恐らく次の段階の措置になるだろう」と述べました。

崔有植(チェ・ユシク)記者

【写真】中国SNSに投稿された米国製品不買運動の動画

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲写真=UTOIMAGE

right

あわせて読みたい