進歩(革新)系の「共に民主党」が14日、曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長(最高裁長官に相当)と大法官(最高裁判事に相当)・判事などに対する聴聞会を強行した。大法院が李在明(イ・ジェミョン)候補の選挙法違反事件を有罪の趣旨で破棄差し戻ししたことを「大統領選挙への介入」と決め付けて国会の証言台に立たせようとしたのだ。曺大法院長など全員が出席しなかったことを受けて、鄭清来(チョン・チョンレ)法司委員長は「まだ目覚めていなかった。弾劾すべき」と主張した。
大法院が法の規定に基づいて迅速な裁判をしたことが大統領選挙への介入だということ自体、誤った主張だ。大法院長と大法官を大挙国会に呼び出すのも、司法府の独立を深刻に損なう行為だ。自分たちに不利な判決を下したからといって大法院長を引きずり降ろそうと強迫するのは反憲法的発想だ。
民主党は曺大法院長に対する特別検察官設置法案も法司委に上程した。民主党・祖国革新党が推薦する特別検察官と派遣検察官20人が最長140日間捜査をするという内容で、2016年の崔順実(チェ・スンシル)事件における特別検察官設置と同じ規模だ。弾劾・辞任要求でも足りず、司法府トップを捜査して処罰しようというのだ。李在明候補に不利な判決をしたら違法になるのか。
民主党は大法官の数を従来の14人から最大で100人まで増やす裁判所組織法改正案、大法院判決についても憲法訴願を提起できるようにする憲法裁判所法改正案も上程した。「民主党側の判事」を大挙任命して大法院を掌握し、事実上「四審制」を導入して自分たちに有利な判決が出るようにしようという狙いなのだろう。全て、大法院に対する報復という性格を持つ法案だ。
民主党は選挙法を変えて、大法院で有罪趣旨の判決を受けた李候補が法の規定の削除に伴う免訴判決を受けられるように押し付けている。大統領候補登録および当選時に裁判を停止し、無罪宣告の裁判だけができるようにする法案も単独処理した。また、判事「法歪曲(わいきょく)」処罰法案も発議した。民主法治国家ではあり得ないことだ。
民主主義の国々が独裁へと回帰する始点は、まさに司法府への攻撃だった。ハンガリー・ポーランド・ペルーなどは、裁判所や憲法裁判所の構成を政権の思い通りに変えて司法府を自分たちの下部機関にした。今の民主党による弾劾・辞任要求・特別検察官設置攻勢と司法府関連の圧迫立法は、それとどれほど違うのか。司法府を掌握して揺るがそうとする反憲法的暴走を止めなければならない。