「社長、給料はウォンではなく仮想通貨で下さい」 為替の変動を懸念する外国人労働者たち

 特に彼らが好むのは仮想通貨の中でもビットコインでもなく「ステーブルコイン」。中でも発行量が800億個を超えるUSDTだ。1USDTは常に1ドルの価値を保つ。米中の対立などで最近為替レートが変動しており、「信じられるのはドルの価値が保たれるテザーだけ」という話が広がっている。外国人労働者はテザーを「デジタルドル」と呼ぶ。ソウルの引っ越しセンターに勤めるミャンマー出身の労働者は「送金途中に為替レートが急落し、20万ウォン以上損したことも多い。今は仮想通貨で受け取るようになり、為替レートの心配がなくなった」と話した。ミャンマーは2021年から内戦状況が続き、自国通貨の価値が急落している。

 全羅南道順天市の人材あっせん業者は「人材難に苦しむ経営者の側から『仮想通貨で支払うから仕事をしてほしい』と言う場合も多い」と語った。全羅北道高敞郡でスイカを栽培するPさん(56)も「銀行アプリを使ったこともなかった農場経営者が最近、スマホを手に仮想通貨を学んでいる」と話した。

 韓国法務部によると、2024年時点で韓国に滞在する外国人は全人口の5.2%に相当する約265万人。うち約40万人は不法滞在者と推定される。京畿道東豆川市の人材あっせん業者は「数年前からタイ、フィリピン出身の売春女性も仮想通貨で日当を受け取っている」と話した。韓国政府としては外国人労働者が本国に送る仮想通貨の規模が増えると、外貨の需給に影響が出て、為替変動が大きくなりかねないとの懸念もある。

 勤労基準法(労働基準法に相当)は、賃金を必ず「通貨」で支給しなければならないと規定しており、仮想通貨で給与を支給することは違法だ。しかし少子高齢化で全国の産業・農業現場が労働力不足に苦しむ状況では、政府がそれを積極的に取り締まることは難しい状況だ。

コ・ユチャン記者

【グラフィック】ステーブルコインで給与を受け取る韓国の外国人労働者

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