「李在明免訴」法案に大統領の拒否権発動を迫る李在明候補の改憲構想【記者手帳】

 韓国大統領選に共に民主党から出馬した李在明(イ・ジェミョン)候補は18日、改憲構想を発表した。大統領再任制に加え、大統領の再議要求権(拒否権)制限が含まれているのが注目される。大統領本人と直系家族の不正腐敗・犯罪に関連する法案が国会で可決された場合、大統領がそれに対して拒否権を行使できないようにする内容だ。李候補が共に民主党の代表を務めた時、民主党は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領夫妻のさまざまな不正疑惑を究明するとして、特別検事法案を何度も成立させたが、そのたびに大統領拒否権に阻まれた。このため、李候補が政権を握った場合には、大統領関連の腐敗や犯罪を捜査する法案に対する拒否権行使を不可能にするよう、憲法改正でくぎを刺す意味合いがある。

【表】共に民主党の「李在明防弾法案」

 ところが、民主党は大統領選を目前に控え、李候補に関連する刑事裁判を無力化する法改正を推進している。最近大法院が李候補の公職選挙法違反事件で有罪の趣旨の判決を下すと、民主党が李候補の起訴事実自体を処罰できないようにする公職選挙法改正を目指しているのが代表的だ。同法改正案が可決され、李候補が大統領に当選して拒否権を行使しなければ、李候補は免訴判決を受け、犯罪そのものがなかったことになる。民主党は刑事裁判の被告人が大統領に当選した場合、裁判を停止する刑事訴訟法改正も推進中だ。李候補が同法案に拒否権を行使しなければ、李候補が起訴されている5件の刑事裁判は全て停止される。李候補が大統領になれば、いずれも李候補が受恵者になる利害衝突法案だ。

 民主党はこれら法案の国会本会議での処理時期を李候補の大統領当選直後と想定しているという話も政界から聞かれる。新政権が指名した国務委員が就任する前に法案が政府に提出されれば、尹錫悦政権の閣僚による閣議で拒否権行使を決議する可能性があるとみているためだという。李候補も民主党のそうした動きを止めようとしない。李候補が大統領になっても、それら法案に対して拒否権を行使しないとみられているのもそのためだ。しかし、李候補が明らかにした改憲構想の趣旨に従えば、李候補が大統領になった場合、自身の刑事裁判を無力化するこれら法案に対して真っ先に「拒否権」を行使しなければならない。さもないと、「大統領の拒否権乱発を防ごう」という李候補の提案は、その意図が疑われるだろう。

イ・セヨン記者

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