日本銀行の空白を埋める民間も尻込みしている。日本の国債市場で最大の投資家となっている大手生命保険各社が、いまだ明確な購入意欲を見せていないのだ。米国発の関税戦争などによって金融市場の不確実さが一層高まっているためだとの分析が出ている。ブルームバーグ通信は「投資家たちはトランプ政権の政策の不確実性と向き合っている」として「日本の超長期国債は日本国内の投資家らによる事実上の『買い入れ拒否』という事態に直面している」と指摘した。21日付の日本経済新聞も、国債金利急騰の背景に財政膨張に対する懸念があるとして「日本もこれからは金利のある世界となり、債券市場が日本銀行のコントロールから解放され始めている」と分析した。
日本の政界では減税の財源として国債発行を主張する声もあるが、石破茂首相は反対の姿勢を示している。石破首相は19日の参院予算委員会で「わが国の財政状況は極めてよくない。ギリシャよりも悪い」と述べた。国際通貨基金(IMF)の集計によると、日本は2023年末現在で国内総生産(GDP)に対する政府債務の比率(政府債務残高対GDP比)が249.7%で世界1位を独走している。2位のギリシャ(債務比率168.9%)を大きく引き離しているのだ。
■「日本円にもリスク、最も安全なのはスイス・フラン」
日本の超長期国債ショックが為替市場に波及するという懸念も提起されている。日本経済新聞は「20年物国債の入札ショックは海外の為替先物市場にも影響を及ぼした」として「投機資本が円買いポジションを見直し、スイス・フランへ移している」と報じた。日本国債が不安定になったことから、ヘッジファンドのような投機資本の間では円の安定性に疑問を抱く動きが出ているということだ。
実際に米国のJPモルガンは最近「これまで推奨してきた『スイス・フラン売り・円買い』の持ち高解消を勧める」として「円にも相当なリスクが存在するため、今こそスイス・フランの安定性を再評価すべきだ」というリポートを発表した。グローバル投資家が一斉に円を売ってスイス・フランに乗り換えれば、それだけ日本円のリスクが高まるのは目に見えている。
キム・ウンジョン記者、成好哲(ソン・ホチョル)東京支局長