■米電力各社、中国製品の購入を最小化
欧米では中国製インバーターに対する規制が必要だとする声が高まっています。セキュリティーリスクを理由に華為、中興通訊(ZTE)など中国企業の5G移動通信設備の使用を取りやめたように、中国製の太陽電池インバーターも規制すべきとの議論です。
米国家安全保障局(NSA)局長を務めたマーク・ロジャース氏は「中国は我々の重要インフラ施設が破壊や混乱のリスクにさらされていることに価値があると信じている」とし、「中国製インバーターが広く普及し、西側国家が安全保障問題への対応で使えるオプションが制限される状況を期待するだろう」と述べました。米下院国土安全保障委員会に所属するオーガスト・フルーガー議員も「中国は通信ハッキング、太陽電池・バッテリーに内蔵されたインバーターへの遠隔アクセスなど手段や方法を問わず、我々の敏感なインフラを攻撃する」と指摘しました。
米電力業界は対策に乗り出しました。ロイターによると、業界大手のフロリダ電力(FPL)は、中国製インバーターの購入を最小限に抑えているということです。
中国は反発しています。駐米中国大使館の報道官はロイターに対し、「国家安全保障の概念を一般論化し、中国がインフラ分野で成し遂げた成果を歪曲(わいきょく)、誹謗することに反対する」と語りました。
■「中国製技術を遮断しなければ脅される」
欧州の状況はもっと深刻だといいます。昨年末現在、欧州全体の太陽光による発電容量は338ギガワットだが、うち200ギガワットが中国製インバーターを通じて電力網と接続されているということです。ドイツの住宅用太陽光発電装置メーカー、 1KOMMA5°(ワンコマファイブ)のフィリップ・シュレーダー代表は「10年前までは中国製インバーターがなくても、欧州の電力網に大きな問題はなかったが、今はその数があまりにも多い」とし、「中国製インバーターの独占問題を巡り、中国と西側が長期的で深刻な対立を起こす可能性が高まっている」と述べました。
リトアニアは昨年11月、発電容量が100キロワットを超える太陽光、風力発電、蓄電施設はインバーターに対する遠隔操作を認めないとする法案を成立させました。中国製インバーターを念頭に置いた措置で、インバーターのソフトウエア更新は現場で行うよう求めるものです。100キロワット以下の家庭用太陽電池にも適用範囲を拡大する計画だそうです。
エストニアのロシン対外情報局長は昨年12月、ロイターとのインタビューで、「エストニアは太陽電池インバーターのような経済の重要分野に使われる中国技術を遮断しなければ、中国から脅迫される恐れがある」と懸念しました。中国製インバーターへの依存度が高くなると、中国がそれを武器に外交的な選択を迫ったりすることがあり得るというのです。北大西洋条約機構(NATO)当局者も「太陽電池インバーターを含め、加盟国の重要インフラ施設をコントロールしようという中国の努力が強まっている。段階的に依存度を引き下げるべきだ」と指摘しました。
崔有植(チェ・ユシク)記者