将来的な在韓米軍削減の可能性に備えて韓国は今から準備を【5月24日付社説】

 米国のトランプ政権が在韓米軍2万8500人のうち4500人を韓国から撤収させる方向で検討しているという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が米国防当局者の話として報じた。この4500人規模の在韓米軍をインド太平洋の別の地域に移動させるというものだが、米国防総省はこの報道について「事実ではない」と否定している。

【グラフィック】在韓米軍兵力の推移

 国防総省は否定しているが、米国は実はトランプ政権以前から在韓米軍の活動領域や役割の拡大を公言してきた。いわゆる「戦略的柔軟性」といわれる考え方に基づくもので、在韓米軍はもちろん、海外に駐留する全ての米軍に適用される。米軍は「中国けん制」に集中し、核兵器を除く在来兵器に対する防衛はその地域の同盟国自ら担当するよう求めているのだ。国防総省の政策担当次官は昨年「在韓米軍を中国に集中する形に再編し、韓国は北朝鮮の在来兵器による攻撃への防衛を今以上に担うべきだ」と発言している。「4500人削減検討」はいわば予告されていたのだ。

 米軍が9カ月ごとに韓国に循環配置しているストライカー旅団戦闘団は4500人だ。米国はこの循環配置を中断する考えのようだ。これも米国の識者などが繰り返し言及してきたのだから、やはり予告されていたようなものだ。

 この措置で韓半島における戦争抑止に問題が生じるわけではない。現在、在韓米軍の在来式地上兵器は韓国軍に比べるとその役割はさほど大きくはない。4500人が撤収すれば在韓米軍の戦闘部隊は砲兵旅団だけになるだろう。米軍は火力については以前から削減を続けており、その一方で韓国軍の火力は急速に拡大している。また韓国陸海空軍の在来兵器も現時点ですでに北朝鮮を圧倒している。一方で中国けん制を主に担当する在韓米空軍はむしろ戦力が強化されるとみられる。米軍が北朝鮮に対して核攻撃の抑止に加え、監視と偵察さえしっかりと支援してくれれば、戦争は十分に抑止できるはずだ。

 問題はトランプ政権が金正恩(キム・ジョンウン)総書記とのイベントのために在韓米軍カードを使うケースだ。米国防総省関係者は在韓米軍削減構想について「対北朝鮮政策に関するトランプ大統領の考えに基づき検討が行われている」と明かした。トランプ大統領は2018年にも米朝首脳会談を実現させるため韓米同盟の核心となる合同軍事演習をストップさせた。在韓米軍は韓国の安全保障に大きな役割を果たすいわば象徴的な存在だ。必要に応じて米国が多少の調整を行うことはあり得るだろうが、金正恩総書記との交渉カードとするのは次元が異なる問題だ。トランプ大統領も今後何をするか分からないため、この点にも準備が必要になってくるだろう。

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