「トロイの木馬」中国製コンテナクレーン締め出しを目指す韓米

 16日午前、済州島のホテルで米貿易代表部(USTR)のグリア代表と韓国造船大手HD現代の鄭基宣(チョン・ギソン)首席副会長が非公開に会談した。トランプ米大統領が直接韓国に造船分野での協力を求める中で、先月の米海軍長官に続き、貿易・通商政策を統括するUSTR代表も韓国を訪れ、「韓米造船協力」をテーマに接触したのだ。

【グラフィック】日常生活に広がる中国の監視機器

 今回の会談ではこれまでも議題に上った造船だけでなく、港湾クレーン分野での協力も重要事項として議論されたという。現在米国の港湾に設置されたコンテナクレーンの80%を中国国有企業の上海振華重工(ZPMC)が掌握しており、USTRは先月、中国製クレーンに100%の追加関税を提案するなど「中国製品締め出し」を目指している。さまざまな最先端センサー、外部に情報を送ることができるモデムなどが搭載されたこのクレーンは、中国への情報流出懸念が浮上する中、「トロイの木馬」というニックネームが付けられている。それに代わり、韓国製クレーンが米国の「有力な選択肢」になり得るとして、議論が続いているのだ。グリア代表は同日、ハンファオーシャンの金熙喆(キム・ヒチョル)代表とも会った。

■クレーンにも協力拡大

 中国製クレーンは現在、米国の悩みの種の一つだ。ZPMCは欧米企業より安い価格でコンテナクレーンを販売し、世界市場で70%以上のシェアを占める。米国の港湾で使われるクレーンの約80%がZPMC製だ。

 年間発注規模が5兆~6兆ウォン(5000億~6000億円)のコンテナクレーンは、港と船舶の間でコンテナの積み下ろしに使われる重要装備だ。このクレーンにはコンテナの行方を追跡する精巧なセンサーが付いているが、米国は中国がそれを通じて米軍の海外作戦物資のような極秘情報を収集する可能性があるとみている。昨年にはZPMCクレーンから購入契約に含まれていない通信設備(モデム)が発見された。中国・上海のZPMC本社から遠隔でクレーンをモニタリングできるだけでなく、中国政府が米国の海洋インフラに必須な部品や資材の供給を制限し、「物流主導権」を握る恐れがあるとも懸念されている。「第2の華為(ファーウェイ)」問題に発展する可能性が指摘されているのはそのためだ。

 先月、USTRが中国製コンテナクレーンに100%の追加関税を提案したこともその延長線上にある。現在25%の関税に上乗せし、事実上市場から中国製クレーンを締め出す狙いだが、現在米国企業にはそれに代わる供給元がない状態だ。今回の会談でHD現代の鄭副会長は、系列会社のHD現代三湖重工業のクレーン製造能力を紹介し、両国の協力を提案した。鄭副会長は「米国の造船産業再建の意向と努力を高く評価する。そのための全ての準備を備えており、必要とあれば喜んで参加する」と述べた。グリア代表も前向きな反応を示し、会談は当初の予定より長く続いたという。

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  • ▲イラスト=キム・ソンギュ

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