鉱物独占戦略が決め手 「元素周期表帝国」中国の逆襲【寄稿】(上)

■米、中国高リスク群鉱物への依存度66%

 米国にとって問題なのは、こうした戦略資源の大半を自国で生産できないことだ。米国地質調査所(USGS)傘下の国立鉱物情報センター(NMIC)が米国の製造業と国家安全保障にとって重要な非燃料鉱物54種類を対象に供給リスクを分析したところ、中国への依存が特に深刻だった。供給リスクは供給障害の可能性、貿易依存度、経済的脆弱性という3要素を総合して算出した。その結果、分析対象となった鉱物全体のうち36種類が「高リスク群」に分類された。この36種類のうち24種類の主要生産国は中国だ。高リスク群鉱物の中国依存度が鉱物種別ベースで66%に達することを示している。

 中国産鉱物資源に依存する米国の現実は、数値よりその内容がさらに深刻かもしれない。米国防総省は、制空権の確保に重要なF35戦闘機を1機製造するための各種部品にレアアースが約400キログラム必要だと明らかにした。最新鋭イージス艦のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦(DDG-51)には2400キログラム、バージニア級原子力潜水艦には4200キログラムのレアアースが使われる。

 レアアースの供給不足は、トランプ大統領が復興させるという米国の製造業にも打撃を与えかねない。米中対立の余波で米国がレアアースを輸入できなければ、米国製造業の生産鈍化につながりかねないからだ。しかも、先端技術競争の最前線にある人工知能(AI)分野にもレアアースの波紋が及ぶ可能性がある。AIの演算力を支える半導体産業は、特定のレアアースへの依存度が特に高い。ランタン、イットリウム、スカンジウムなどのレアアースは、半導体性能を左右する重要物質として挙げられる。これら元素は電気伝導性、絶縁特性、ガス感知能力などを通じ、半導体装置の処理速度と精度を高めるために使われるからだ。レアアースの供給不足で特殊半導体がまともに生産されなければ、米国が主導するAI技術開発にも打撃は避けられないものと予想される。

【グラフィック】レアアースと重要鉱物など戦略資源の主な活用分野

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