ベネズエラのように「金於俊が最高裁判事になれる社会」を本当に望んでいるのか【5月26日付社説】

 韓国最大野党・共に民主党の国会議員たちが、大法官(最高裁判所裁判官)に法曹界以外の人物を任命できる法案を発議し、物議を醸している。同党が「学識と徳望」「専門分野の経験」「法律の素養」があれば弁護士資格がなくても大法官になれる裁判所組織法改正案を推進するや、与党・国民の力は25日、「李在明(イ・ジェミョン=共に民主党大統領選候補)の弾よけのための裁判所、共に民主党のための『御用』裁判所を作ろうという試み」と批判した。また、「(左派系ジャーナリスト)金於俊(キム・オジュン)のような人物を大法官にして、国民を裁くということだ」とも述べた。

【Photo】ネット放送で「李在明代表を捜査した検事を弾劾すべき」と発言する金於俊氏

 動画共有サイト「ユーチューブ」の配信を通じて左派陣営の世論を思いのままに操る金於俊氏は、共に民主党の精神的メンター(指導者・助言者)のような存在だ。昨年12月の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による非常戒厳宣布時、金於俊氏は「暗殺組織があった」という荒唐無稽(むけい)な陰謀論を提起した。共に民主党は「かなりの虚構だ」という報告書を出したが、金於俊氏の配信に出演した際は謝罪し、報告書も「可能性は捨てきれない」と修正した。このような力関係を見ると、学識・経験・素養などという抽象的な基準で「金於俊大法官」を選ぶのではないかとの疑念を抱かれても不思議ではない。

 この法案発議が物議を醸すと、李在明候補は「共に民主党の見解でも、私の見解でもない」と言った。その上で、「個別的立法提案」「党に自重しろと指示した」とも語った。ところが、この法案発議者は同党の朴範界(パク・ポムゲ)議員、金炳周(キム・ビョンジュ)議員、金容民(キム・ヨンミン)議員、朴均沢(パク・キュンテク)議員、朴智元(パク・チウォン)議員、李盛潤(イ・ソンユン)議員、張京泰(チャン・ギョンテ)議員らだ。ほとんどが李在明候補に近いか、法律関係の参謀、共に民主党のベテランたちだ。このうち、金容民議員は大法官の定員を14人から30人に、張京泰議員は大法官を100人にまで増員する改正案を出した。大法官の数を大幅に増やした後、法曹関係者以外でも共に民主党の口に合えば任命し、司法府を自分たちの配下に置こうとしているのではないだろうか。

 ベネズエラのチャベス政権は2004年、最高裁判事を20人から32人に増やし、増えた12人を全員、自身の部下で満たした。その後、チャベス大統領が死去するまで、大統領の意に反する最高裁判決はなかったという。昨年のベネズエラ大統領選挙では不正選挙疑惑が強かったのにもかかわらず、最高裁はチャベス大統領の後継者の肩を持った。同国では20年以上も政権交代が実現していない。

 共に民主党は今、大法院で有罪の趣旨をもって原審差し戻しとなった李在明候補の容疑そのものをなくすため、選挙法改正を推し進めている。大統領当選時には裁判を停止し、無罪判決の公判だけができるようにする法案も処理した上、判事の「法歪曲(わいきょく)」を処罰する法律も発議した。そして今回、「金於俊大法官法」も発議したのだ。本当にベネズエラのような国になることを望んでいるのだろうか。

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  • ▲共に民主党の朴範界(パク・ポムゲ)議員。写真=news 1

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