「乾津法師」を名乗るシャーマンのチョン・ソンべ容疑者(65)の事件を捜査している韓国検察は最近、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領夫妻の私邸と金建希(キム・ゴンヒ)夫人が営んでいた展示企画会社「コバナ・コンテンツ」のオフィスなどを家宅捜索した。その結果、検察は、コバナ・コンテンツのオフィスで金夫人と15年以上も一緒に仕事をしてきた「最側近の秘書」ユ・ギョンオク元大統領室行政官のUSBメモリーに尹・前大統領夫妻の(ネットバンキング等に必要な)共同認証書が保管されている事実を把握したという。28日までに分かった。ユ元行政官はチョン容疑者などを通して総額2000万ウォン(現在のレートで約210万円)台のシャネルのバッグを二つ渡された後、別の製品に交換して金夫人に届けた疑いが持たれている。
本紙の取材を総合すると、ソウル南部地検仮想資産犯罪合同捜査部(朴建昱〈パク・コンウク〉部長検事)が先月30日にコバナ・コンテンツのオフィスを家宅捜索した結果、ユ元行政官の個人USBメモリーに尹・前大統領夫妻の共同認証書が保管されていることを確認した。検察は、USBメモリーの分析を通して、ユ元行政官が過去10年以上にわたり尹・元大統領夫妻の資金管理を引き受けてきた状況を確認したと伝えられている。ユ元行政官は金夫人を15年以上も補佐してきた、いわゆる「影の秘書」だ。大統領室勤務当時も、いわゆる「門番3人衆」の中心的存在に挙げられていた。
ユ元行政官は、尹・前大統領当選直後の2022年4月と7月にチョン容疑者を通して二度にわたりシャネルのバッグを受け取ったことが明らかになった。検察は、長年尹・前大統領夫妻の資金管理を行ってきたユ元行政官が実際に金夫人にバッグを渡した可能性が高いとみている。検察は最近、ユ元行政官の出国を禁止し、チョン容疑者などの尋問を検討していると伝えられている。
金夫人とユ元行政官は「バッグをやりとりしたことはない」「ユ元行政官が(チョン容疑者を通してブランドバッグを)受け取った事実も知らなかった」という立場だ。しかし検察は、政治ブローカーのミョン・テギュン氏と保守系の旧与党「国民の力」の金映宣(キム・ヨンソン)元議員が非公開で会合を持った際、ユ元行政官がその調整を行った状況なども追加で確認し、ユ元行政官が金夫人と話をすることなくバッグを受け取った可能性は低いとみている。
また検察は、ユ元行政官が受け取ったシャネルのバッグを他の製品に交換する際、大統領室官邸の工事を担当していたインテリア企業「21グラム」の代表取締役の妻A氏と同行した、という事実も把握した。21グラムは「随意契約」を通して大統領室官邸の工事を受注した事実が明らかになり、「特別待遇疑惑」が浮上した企業だ。検察は最近、21グラムの代表取締役の自宅を家宅捜索し、妻A氏を参考人として呼んで事情聴取を行ったという。
コ・ユチャン記者