韓国最大野党・共に民主党所属の国会議員たちがインターネット上に「虚偽操作情報」を生成・流布する内容の情報を載せる行為を禁止する法案を発議した。その直後、同党の選挙対策委員会は改革新党・李俊錫(イ・ジュンソク)大統領選候補のいわゆる「箸発言」を引用報道した記者9人を「虚偽・歪曲(わいきょく)報道」だとして告発すると述べた。
政界関係者によると、共に民主党の趙寅喆(チョ・インチョル)議員らはこのような内容を盛り込んだ情報通信網法改正案2件を29日と30日に発議したという。同改正案はネット上の流通が禁止されている違法な情報に「本人または第三者の政治的・経済的利益を目的に、虚偽操作情報を生成・流布し、暴動・テロなどの犯罪を助長したり、扇動したりする内容の情報」を入れるという内容が含まれている。また、「特定集団やその構成員に対する差別を正当化・助長・強化したり、暴力を宣伝・扇動したりする内容の情報」の流通を禁止するという内容もある。趙寅喆議員らは提案理由を「虚偽操作情報による社会的混乱を防止するため」と説明した。
改正案が通過すれば、「虚偽操作情報」や「差別正当化情報」に該当する文は放送通信委員会がサービス提供者に削除を要求することができる。
「虚偽操作情報」流布行為を処罰する内容の法案はこれまでにも数回発議されたことがある。ただし、一部では「虚偽操作情報」の定義があいまいで、表現の自由を過度に侵害しかねないという批判もある。
趙寅喆議員は電話取材に「李俊錫候補の問題を念頭に置いて発議したわけではない」「(韓国メディア)スカイデイリーの『中国スパイ』報道などの虚偽情報がネット上で過度に拡散されていることが多く、これを防止するためのものだ」と語った。
一方、共に民主党選挙対策委員会のフェイクニュース対応団は、李俊錫候補のテレビ討論会での発言を引用して報道した記者9人を公職選挙法違反で告発することを同日、明らかにした。
李俊錫候補は27日のテレビ討論会で李在明(イ・ジェミョン)共に民主党候補の長男のコメントを引用して発言したが、「該当のコメントは女性の身体を対象にした性暴力的表現だ」として物議を醸した。共に民主党としては、該当のコメントはもともと男性を対象にしたものだったが、李俊錫候補がこれをまるで女性を対象にした表現であるかのように虚偽の発言をした、という見解だ。
選対は「メディアは李俊錫候補の該当の発言をフィルターを通すことなく引用し、事実関係の確認手続きをせずに候補者の家族に対する歪曲された内容を報道した」「悪意のある虚偽報道は有権者の判断に深刻な影響を及ぼし、民主主義の根幹を脅かす重大犯罪行為に該当する」としている。
また、「今後も類似事例を持続的に検討し、同じタイプの虚偽・歪曲報道に対しては厳正な法的措置を継続していく方針だ」と述べた。
兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者