■ソウル型複合文化クラスター「K-POPシティ」
東京ドームは、巨大な「東京ドームシティ開発プロジェクト」の一部に過ぎない。東京ドーム前の地下鉄駅から出ると、大型ショッピングモールとテーマパークを通り抜ける構造になっている。東京ドームの裏には巨大なホテルがあり、すぐ隣には音楽の公演が可能な「TOKYO DOME CITY HALL(東京ドームシティホール)」や中規模・小規模のイベントホールがある。一つの大規模エンターテインメント・クラスターの中で、ドーム球場、さまざまな規模のイベントホール、ショッピングモール・宿泊施設・テーマパークが有機的に結びついているのだ。米NBA(全米プロバスケットボール協会)ロサンゼルス(LA)・レイカーズの本拠地であるLAダウンタウンのクリプト・ドットコム・アリーナ(旧ステイプルズ・センター)も「都心のエンターテインメント・クラスター」の模範的な事例だ。
ファンは音楽だけを消費するわけではない。コンサート会場での体験、グッズを購入する楽しさ、好きなことを共有する人たちと一緒に過ごすワクワク感を求めている。K-POPもまた、単なるコンテンツではなく「ライフスタイル」だ。ソウルがその中心になるためには、「立派なステージ」を備えなければならない。
筆者が提案する「K-POPシティ」では、アリーナは単なるコンサート会場ではなく、周辺施設をひっくるめてファンダム(熱狂的なファン集団)が滞在する場所であり、都市が産業を再編する機会であり、クリエイターが夢を広げるプラットフォームだ。そして絶対にソウルの要地(仁川空港から公共交通機関でアクセスできる場所)に存在しなければならず、その最適な場所は竜山駅前にある竜山整備廠の敷地(竜山国際業務地区)だ。竜山の敷地は数十年間にわたって放置され、この地域の未来ビジョンが何なのか、ソウル市民には分からない。ソウル中心部に残された最後の巨大な敷地だ。
「K-POPシティ」は、アリーナを中心にさまざまな文化コンテンツを創出するとともに、都市の産業を再編し、都市全体のブランド価値をアップグレードすることができる。そうすることで、ソウルは単にコンテンツを「輸出」するだけの都市から脱皮し、世界中のファンが「訪れ、滞在し、消費し、創作する」グローバルな文化の都になれるのだ。
キム・ギョンミン・ソウル大学教授(都市計画専攻)