韓国大統領選きょう投開票、激しく分裂している国民を統合するきっかけとすべき【6月3日付社説】

 今日は第21代韓国大統領を選ぶ日だ。今回の大統領選挙は突然の非常戒厳令と大統領弾劾を受けて行われる。これまで6カ月間、国民は混乱を耐えるしかなかった。期日前投票率が34.7%と過去2番目に高かったことも、今回の大統領選挙に対する国民の高い関心を示すものと言えよう。

【写真】期日前投票する李在明候補と金文洙候補

 共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補は最後の遊説で「今回の大統領選挙は内乱克服に向けた選挙」「今急がれることは庶民の生活対策と経済の回復だ」と訴えた。国民の力の金文洙(キム・ムンス)候補は「虚偽と腐敗のない清潔な大韓民国を築きたい」「総統独裁の出現を阻止してほしい」と呼びかけた。改革新党の李俊錫(イ・ジュンソク)候補は「未来に向けた保守陣営のシードマネー(種銭、元手)として私に一票を投じてほしい」と支持を求めた。

 今回の大統領選挙も国の将来や政策についての議論は深まることなく、暴言と誹謗(ひぼう)中傷ばかりが目に付いた。公約も共に民主党は期日前投票前日の28日、国民の力も3日前の26日に公表されたが、これは歴代の大統領選挙で最も遅かった。3回行われたテレビ討論は相手を公開非難する場となった。陣営による告訴や告発合戦も激しかった。投票日が近づくと状況はさらに混沌とした。李在明候補は「政治報復はしない」と何度も約束しているが「内乱に加担した人間が政府内に数多く潜んでいる」として特別検事の必要性を訴えた。金文洙候補は最後まで尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対する明確な態度は示さず、確実に距離を置くことはしなかった。

 今韓国の経済と安全保障はどちらも崖っぷちに立たされている。韓国銀行は今年の成長率見通しを1.5%から0.8%へと大きく下方修正した。今年1-3月期の成長率はマイナス0.2%で主要国では最低に近かった。内需の不振は相変わらずで、経済を支えてきた輸出も「トランプ関税」などの影響で萎縮している。国際情勢の激変も深刻な影響を及ぼしている。米国は中国による台湾侵攻に備え在韓米軍の役割見直しをすでに公言した。トランプ大統領が北朝鮮との交渉材料とするため在韓米軍削減を検討中との見方もたびたび浮上している。防衛費分担金引き上げと貿易交渉が関連付けられる可能性も高い。北朝鮮がロシアから軍事技術の提供を受けていることも軽く考えてはならない。

 このように国の内外で深刻な危機が目前に迫っている今、国内で争う暇などない。今回の大統領選挙は12月3日の非常戒厳令から続く混沌状態を克服し、激しく分裂している国民を統合するきっかけとすべきだ。誰に投票するかに関係なく、この願いは皆同じはずだ。

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