【NEWSIS】韓国の全国種別陸上選手権大会で、いわゆる「韓国陸上の現実」を示すシーンが中継カメラに捉えられ、物議を醸している。
【写真】全国大会決勝レース中に隣の選手と談笑? 衝撃的なタイムでゴールする1位の選手
問題のレースは5月21日、慶尚南道密陽市で開催された第54回全国種別陸上競技選手権大会の中で行われた。大学生男子3000メートル障害の決勝で、選手たちが記録ではなく順位だけにこだわるレースを展開したのだ。
選手たちはペースを上げず、周囲の選手に合わせてスピードをコントロールし、入賞圏内に入ることだけを考えているようだった。
中にはレース中に隣の選手と笑顔で談笑する選手もいて、その様子が中継の映像に映っていた。
この日、1位でゴールした選手の記録は10分16秒56だった。同種目の大学生男子の韓国記録は2007年にファン・ジュンヒョン選手(韓国体育大学、当時)がマークした8分50秒14だという。この日の決勝1位の記録は韓国記録より1分26秒も遅かったのだ。
また、同大会で行われた同種目の高校生男子の1位は9分40秒90だった。
レース中継で解説を担当していたユン・ヨチュン陸上解説委員は「選手たちが順位を気にしているせいでペースが遅いですね」「ジョギングでもない、ウォーキングより少し速い程度のペースです。これが大学陸上と大学陸上選手たちの現実」と指摘した。
ユン解説委員は「選手たちが足並みをそろえてハードルを飛び越えていきます」「こんなレースを国民と観客に見せるというのは恥ずかしいことです」と皮肉交じりに言った。
選手たちのペースが上がる気配もないままレースが進行し、ユン解説委員は「こんな走りでは中継する人間も力が湧かないし視聴者もチャンネルを変えてしまうでしょう。陸上の人気が低下する行為です。小学生でもこれより速く走ります」「プロデューサーに話をして、しばらくは大学生の3000メートル障害を中継しない方がよさそうです。本当にがっかりです」と厳しく批判した。
その後、ユン解説委員はこの日の発言について、5月29日のKBSスポーツ(ニュース)で「選手たちが示し合わせ、記録を狙わず順位だけを争ったというのが残念で、あのような発言をした」「ベストを尽くしたのに記録が出ないのなら仕方がないが、談合のようなことは残念だし改善すべき問題。国民が見たらどう思うだろうか」と訴えた。
また「順位よりも記録の方が重要だ。順位ではなく記録に基づく褒賞を考える必要がある」とも指摘した。
ユン解説委員の批判的な解説が入った中継映像がネット上で話題になると、このレースに出場した選手だという人物は「全国体育大会(日本の国体に相当)では他の種目で順位争いが行われば、それは戦略・戦術なのに、ある種目ではそれが許され、ある種目ではそれが許されないだなんて、実におかしな話だ」「いつからこんなに注目が集まるようになったのか、あらためて驚きだ。言い訳といえば言い訳になるけど、言いたいことは山ほどある。どうしてこんな風にしか走れなかったのか気になるのなら、直接連絡をしてほしい」などとコメントを投稿した。投稿はその後本人が削除したという。
ホン・ジュソク記者