進歩(革新)系の与党「共に民主党」は2日、国会法制司法委の小委員会を開いて、大法官(最高裁裁判官に相当)の数を14人から30人に増やす裁判所組織法改正案を単独処理した。「民主党側の大法官」を大挙任命して李在明(イ・ジェミョン)大統領に不利な判決が出ないように大法院の構成を強引に変更しよう、という狙いだ。大法官の増員は、裁判の遅延の解決案として以前から取り上げられてきたが、法曹界の意見を集約した後に与野党が合意して処理すべきものだ。司法制度の一方的な変更は民主法治国家ではあり得ない。ところが民主党は、李大統領の就任式が終わるや否や、まず大法官増員法案から強行した。
こうした「大統領防弾」諸法が次々と法司委を通過している。李大統領の任期終了時まで裁判を停止する法案や、大法院で有罪趣旨の判決を受けた選挙法の条項そのものを無くして李大統領が免訴判決を受けられるようにする法案が、その代表例だ。全て李大統領一人だけのための法だ。近代民主国家の議会では無かったことだ。民主党は、5日にこれらの法案を処理するつもりはないーとしたが、いつでも強行できる状況だ。
李大統領の選挙法違反事件破棄差し戻し審は18日、大庄洞と城南FC疑惑の一審は24日にそれぞれ予定されている。5日には李華泳(イ・ファヨン)元京畿道平和副知事の対北送金事件の大法院判決も重なっている。控訴審の裁判部は、李・元副知事に対して懲役7年8カ月を言い渡している。大統領在任中に裁判を中断するかどうかは個別の裁判部が判断すべき、というのが大法院の立場だ。だが、民主党が大統領裁判中止法案などを本会議で処理したら、司法府の判断の機会そのものを奪うことになる。三権分立の無力化だ。
大統領選挙の出口調査で「李大統領の裁判」について尋ねたら、回答者の63.9%が「継続すべき」と回答した。「裁判中断」は25.8%だった。民主党支持者の中でも「裁判継続」は42.7%に上り、「中断」(44.4%)に近い数字となった。決して無視してはならない国民の意向なのだ。この日、李大統領と対面した保守系野党「国民の力」の金竜泰(キム・ヨンテ)非常対策委員長は「国民統合は互いに憂慮している部分をやらないのが重要」と語った。李大統領はこれを考慮してみたらどうかと思う。