米財務省、韓国含む9カ国を為替操作の通貨安誘導「監視対象」に指定

昨年11月に続き再指定
経常収支黒字と貿易収支黒字の基準は適用されず

 米国のトランプ政権は「為替問題は貿易交渉の重要なテーマ」と明言しているが、そのような中で韓国も昨年11月に続き今回再び為替操作監視対象に指定された。米国は2015年に制定された貿易促進法に基づき、自国との貿易規模上位20カ国のマクロ経済と為替政策を分析し、一定基準に相当する場合には為替操作国あるいは監視対象に指定している。監視対象に指定された場合は直ちに何らかの制裁を受けるわけではないが、経済制裁が行われる為替操作国に指定されることへの懸念から為替政策への影響は避けられない。

 米財務省は5日に各国の通貨政策などを分析した報告書を議会に提出し、その中で韓国と共に中国、日本、シンガポール、台湾、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスの8カ国・地域を監視対象に指定した。昨年11月には対象とならなかったアイルランドとスイスが今回新たに監視対象に加えられた。現在の評価基準は①150億ドル(約2兆1500億円)以上の大幅な対米貿易黒字(財・サービス貿易黒字額)、②国内総生産(GDP)比3%以上の経常収支黒字、③持続的で一方的な為替介入(過去12カ月間のうち8カ月以上の介入、かつGDP比2%以上の介入総額)の3要件だ。この三つの要件全てに該当した場合は「為替操作国」に指定され、二つの基準に該当すれば「監視対象」となる。

 韓国は2023年11月に7年ぶり(16年4月以来)に監視対象から除外されたが、トランプ政権発足前の昨年11月に再び監視対象となった。米財務省は韓国について「経常黒字が昨年はGDP比5.3%で、前年の1.8%よりも増えたため」と説明している。つまり韓国が今回監視対象に指定された大きな理由は貿易黒字が増えたためだ。実際に韓国の商品とサービスを合わせた貿易収支は昨年550億ドル(約7兆9000億円)の黒字を記録し、前年の140億ドル(約2兆円)に比べて大きく増加した。米財務省は韓国政府に対し「ウォン高圧力の中で24年4月と12月に外国為替市場に介入し、昨年はGDPの0.6%に相当する112億ドル(約1兆6000億円)を売り越した」「韓国は今後、為替市場が混乱した場合でも、特別措置という口実の為替介入は制限すべきだ」と指摘した。

 今回の報告書はトランプ政権発足後、最初に提出されたもので、トランプ政権は為替政策が不公正な国に対しては貿易交渉において為替も議題にする考えを何度も表明してきた。ベッセント財務長官は「米国は引き続き為替政策の慣行に対する分析に力を入れ、為替操作国に指定されることにより支払う代価を一層大きくするだろう」「不公正な為替政策に対する力強い対抗策を実行に移すため、あらゆるツールを活用する」と述べた。韓米両国は今年4月に「2プラス2(財務、通商)協議」を行ったが、その際それまで通商協議の議題とはならなかった為替問題もベッセント長官の提案で別途話し合われた。そのため「米国は為替政策と為替市場介入の透明性問題を新たな議題にするのでは」との見方も浮上しており、これと関連して韓米両国は先月イタリアのミラノで初の対面協議を行った。

ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員

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