韓国与党・共に民主党は5日の国会本会議で野党の時から制定を目指してきた「内乱特別検察官任命法案」「チェ上兵(上等兵)特別検察官任命法案」「金建希(キム・ゴンヒ)特別検察官任命法案」を可決・成立させた。李在明(イ・ジェミョン)大統領はこれらの法案を直ちに交付し、特別検察官候補者を任命する意向だという。
三つの特別検察官任命法の捜査対象はいずれも前政権の関係者だ。「内乱特別検察官任命法」は非常戒厳令と関連する11の犯罪疑惑が捜査対象で、「金建希特別検察官任命法」は金建希氏による株価操作疑惑やブランドバッグ受領疑惑など16の容疑が捜査対象だ。また「チェ上兵特別検察官任命法」はチェ上兵死亡の経緯と政府による捜査妨害疑惑を調べるものだ。三つの特別検察官任命法により任命される検事の人数は合計でなんと120人に達する。捜査期間も李在明政権の初期6カ月にわたり続く。
チェ上兵問題や金建希氏問題に対しては以前から「捜査が不十分」との指摘が根強かった。野党・国民の力所属の一部議員がこれら特別検察官任命法に賛成票を投じたのもそのためだ。しかし特別検事とは政権が関与する疑惑や事件に対して検察が十分に捜査しなかったとの指摘がある時に野党が求める捜査制度だ。共に民主党が野党だった時は特別検察官を求めることは正当だった。ただし特別検察官の推薦権を共に民主党が独占を求めたことは問題だった。
しかし今は共に民主党が政権を握っている。警察、検察、高位公職者犯罪捜査処はもちろん、国のあらゆる捜査機関が共に民主党政権の下にある。政権を握った側が前政権を捜査する際に検察ではなく特別検察官制度を活用するのはあまりに異例だ。現時点で検察や警察のトップが交代していないことが理由かもしれないが、検察も警察も幹部らは政権の意向に最初に合わせる立場にある。そのため史上初めて政権側が行う今回の特別検察官任命法は実質的な捜査結果を求めてのことか、あるいは特別検察官という政治的舞台装置をさらに求めてのことか理解ができない。