韓国文化を愛する国会議員と家族の会【東京支局長コラム】

 韓国与野党の国会議員数十人がソウルで「私は日本が好きです」という夕食会を開くことがあり得るだろうか。韓日関係が正常化したとはいえ、「日本を愛する」という横断幕の下では、計算が複雑になることが避けられない与野党の政治家が集まるのは容易ではないだろう。しかも駐韓日本大使館が主催した行事であれば、すぐに「親日政治家」というレッテルを張られるのではと考えて避けるのではないだろうか。

【記念写真】河野太郎・元デジタル相と成好哲・東京支局長

 5月8日の夕刻、東京ではそんなことが起きていた。駐日韓国大使館の裏庭で「韓国文化を愛する国会議員と家族の会」が開かれたのだ。内閣の序列2位となる林芳正官房長官が妻と共に出席したのをはじめ、阿部俊子文部科学相、河野太郎・元デジタル相、西村康稔・元経済産業相など自民党の有力政治家が大挙出席した。

 連立与党の公明党の山口那津男・元代表や、福島瑞穂・社民党代表、塩村文夏・立憲民主党議員など現職の国会議員およそ30人は、韓国大使館の裏庭でバーベキューを食べ、「誰が韓国をよく知っているか」というクイズゲームを楽しんだ。

 現場で会った野党の初当選議員は「自民党ときょうのように気楽に合うことができればうれしい」と語った。この日は与野党に分かれず「韓国が好きな同じ側」だった、という意味だ。70代後半の自民党国会議員は「現役30人ほどを集めれば、日本では政局を左右できるキャスティングボートの議席数」だとし、「この場を作った朴喆熙(パク・チョルヒ)駐日韓国大使は“日本の第6党の代表”くらいにはなるんじゃないか」とジョークを飛ばした。

 3年前の時点では想像もできないことだ。2022年6月、当時の姜昌一(カン・チャンイル)駐日韓国大使が林外相(肩書は当時)とおよそ30分間面談した。文在寅(ムン・ジェイン)政権で任命された姜大使は21年1月に赴任したが、1年半が経過したこのときようやく、外相と初めて面談した。帰国が決まった姜大使とお別れのあいさつをするという口実で会ったにすぎなかった。東京大学で修士号・博士号を取り、韓日議員連盟会長を歴任した姜大使だったが、戦後最悪という韓日関係の前では打つ手がなかった。

 日本では、韓国の次期大統領が以前の文在寅政権のような反日路線に回帰するのかどうかが最大の関心事だ。トランプ政権の米国優先主義と中国の台湾脅迫、北朝鮮のミサイル挑発など山積みの国際的懸案について共に悩むパートナーたる韓国が、背を向けるのかと懸念しているのだ。日本メディアの知人は「慎重な日本は、今ようやく、韓国が差し出した手を取ったところ」だとし、「もしかすると、韓日関係正常化の果実は韓国の次期政権が持っていくかもしれない」と語った。6月に羽田空港に作られた「韓国人専用入国審査レーン」を、そうした事例に挙げた。

 しばしば、「孤掌難鳴」という四字熟語で韓日関係を語ったりする。一方の掌(てのひら)だけでは音を鳴らすのは難しい、という意味だ。6月3日に選出される次期韓国大統領が、合理的で、国益に適合した韓日関係を進めていくことを期待する。

成好哲(ソン・ホチョル)東京支局長

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