最高裁判事を14人から30人に増やした後どうするの? 与党・共に民主党は検討もせず処理するつもりか【6月7日付社説】

 進歩(革新)系の与党「共に民主党」が国会法制司法委員会の法案小委で、大法官(最高裁裁判官に相当)を14人から30人に増やす裁判所組織法改正案を単独処理した。民主党がその気になりさえすれば、この法案を法司委全体会議と国会本会議でもすぐに処理できる状況だ。

【図】最高裁判事14人→30人 予想されるメリット・デメリット

 上告審のシステムを改善したり大法官を増員したりする問題は、かなり前から出ていた課題だった。上告事件は増え続けているのに、大法官の数は1987年以来14人で事実上変動がないので、大法官1人当たりの処理すべき事件数は年間3000件を超えている。梁承泰(ヤン・スンテ)大法院長(最高裁長官に相当)時代には上告裁判所の新設を推進し、金命洙(キム・ミョンス)大法院長時代には大法官4人を順次増やす案も検討した。

 大法官の増員は事実上、大法院(最高裁に相当)の体制を変えることであり、全国民が影響を受ける重大な事案だ。にもかかわらず民主党は1度も公聴会を開かず、当事者である司法府の意見もきちんと聞かなかった。大法官増員の必要性を認めるにしても、この先大法院をどのように構成し、運営するのか議論した後で数を決めるのが常識的な順序だろう。30人に増やしたら全員合議体の運営は可能なのか、全員合議体を民事と刑事で分けるのか、上告裁判所を導入するのかどうかなど、大法官の数を決める前に検討すべき事案は一つや二つではない。

 増員される大法官が役割をきちんと果たすためには、大法官を補助する裁判研究官も増やさなければならない。30代から40代半ばくらいの判事が大勢大法院に移れば、一審・二審の裁判がさらに遅延することもあり得る。こうした検討もなしに大法官の数をむやみに2倍に増やしたら、上告審はもちろん下級審まで質が低下しかねない、という懸念が出ている。

 大法院が上告裁判所の新設にこだわっていたとき、民主党は「コンセンサスの形成が不十分」などの理由で否定的だった。その後、これといった関心を持っていなかったのに、大法院が李在明大統領の選挙法違反事件を有罪の趣旨で破棄差し戻しするや、急に態度を変えた。法曹界以外の人物を大法官に任命する法案まで発議し、大法院の判決についても憲法訴願を提起できるようにする憲法裁判所法改正案も提出した。国民のための司法改革ではなく、大法院に対する報復という性格を持つ措置であり、かつ、司法府掌握用だという批判が出ることは避けられない。30人増員案のままなら、李在明大統領が任期中に大法官を26人任命することになる。曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長の言う通り「国家百年の大計がかかっている問題」を、このように処理することはできない。

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