ウクライナ戦争で徴兵拒否し韓国に来たロシア人…一審で難民認定も控訴審は「難民ではない」【独自】

「反戦デモ陳述は疑わしい」
難民の地位を認めた一審とは異なる判断

 ウクライナ戦争に反対し、訴訟によって韓国で初めて難民の地位を認められていたロシア人が、控訴審で敗訴した。ソウル高裁行政9-3部(裁判長:金炯培〈キム・ヒョンベ〉判事)は最近、ロシア人のAさんが「難民不認定の決定を取り消してほしい」としてソウル出入国・外国人庁長を相手取って起こしていた訴訟で、原審を覆して原告敗訴の判決を下した。

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 Aさんは、ロシアがウクライナに侵攻した後の2022年11月に韓国へ入国し、翌年1月に難民申請を行った。Aさんは「徴兵を避けてロシアを脱出したので、帰国時に処罰されかねない」と主張した。韓国政府が難民認定を拒否すると、Aさんは訴訟を起こした。

 争点は、Aさんが本当に「反戦」という政治的動機で徴兵を拒否したのかどうかだった。韓国政府は、人種・宗教・国籍・政治的意見などを理由として迫害される恐れがある場合に難民と認定する。単純な徴兵拒否は難民認定事由にならない。

 一審は原告勝訴判決を下した。2022年4月と9月にロシアのチェリャビンスク広場で行われた2回の「反戦デモ」に参加したというAさんの陳述、知人が作成したAさんのデモ参加確認書などが根拠とされた。

 しかし控訴審は「Aさんの陳述は信用し難い」とした。Aさんは難民面接と訴状で「2021年に反政府デモに1回参加した」としていたが、裁判が始まると前言を翻し「戦争が始まった後、複数回参加した」「22年4月、9月の2回参加した」などと述べた。控訴審は「デモ参加の時期や回数など、重要な部分で一貫性がない。ウクライナ戦争に反対したと主張するために時期を戦争後に変えて陳述したのではないかとの疑いがある」と指摘した。また、知人が書いたデモ参加の確認書も「それぞれ異なる人物が作成したものだが、内容はほとんど一致している。原告から頼まれて作成したのではないかとの疑いがある」とした。

 なお、Aさんが上告したため、最終結論は大法院(最高裁に相当)が下すことになった。

パン・グクリョル記者

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