【ソウル聯合ニュース】韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は9日、石破茂首相と就任後初めての電話会談を行った。「国益中心の実用外交」を標ぼうする李大統領が韓日関係の土台をどのように築いていくのか注目される。
大統領室の姜由楨(カン・ユジョン)報道官によると、会談はこの日正午から約25分間行われた。両首脳はより強固で成熟した関係を構築していくことで一致した。
李大統領が4日の就任後、外国の首脳と電話会談を行うのはトランプ米大統領に続き2回目となる。
両首脳はカナダ西部カナナスキスで15~17日に開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)で初めて対面するとみられる。
この日の電話会談で両首脳が韓米日協力の枠組みの重要性を改めて確認し、今後対面で韓日関係の発展について踏み込んだ協議をすることを申し合わせただけに、G7サミットに合わせて韓日首脳会談が開かれる可能性に関心が集まっている。
ただ、G7サミットの日程が3日間と短いため、会談が実現しても略式になる可能性が高いものの、両首脳が対面することに意味がある。
国益中心の実用外交を掲げる李大統領が、日本との関係をどのように設定するのか、国内外から視線が集まる。
韓日関係は歴史問題と絡み合い、米国、中国、日本、ロシアの朝鮮半島を取り巻く主要4カ国のなかでも歴代政権にとって最も難度の高い外交相手国に挙げられてきた。
これまで李大統領は韓日関係を巡り、歴史問題は原則に従って対応し、経済や安全保障協力などでは実利を優先する「ツートラック」での対応を表明してきた。
大統領選で発表した公約集でも韓日関係については実利中心に経済、安保、人的交流を強化しながら歴史問題については解決策を模索し続けるとしていた。
外交・安保政策発表文でも「領土問題や歴史問題は原則に従って対応し、『日本はドイツから学ばなければならない』という明確な立場を持って解決しなければならない。安保や経済・社会・文化領域は未来指向でアプローチすることが必要だ」と表明した。
このような李大統領の方針が実際の日本との外交でどのように実現されるのか注目が集まる。
対日外交は両国の未来志向の関係改善に重点を置いて進められるとの見方がでている。李大統領が実利中心の外交路線を明らかにしたことに加え、今年が両国の国交正常化60周年であるだけに、関係改善の流れを維持する可能性が高いとみられる。
李大統領は石破首相との電話会談後、SNSに「今日の国際情勢の中で、韓日関係の重要性が日増しに高まっている」とし、「特に今年は韓日関係正常化60周年、光復(日本による植民地支配からの解放)80周年という意味のある年であり、新しい時代が求める未来志向の韓日関係を構築していく」と強調した。
ただ、独島など領土問題と徴用訴訟問題の解決策などは難題になるとみられる。
李大統領は就任前、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前政権の対日外交について「過度に服従する態度」と批判したことなどから、両国関係が前政権に比べて冷え込むという見方もある。
韓米日協力が韓日関係を紐解く鍵になる可能性もある。
李大統領が韓米日協力の枠組みの重要性を強調していることに加え、大統領就任宣誓で「堅固な韓米同盟を土台に韓米日協力を固め、周辺国との関係も国益と実用の観点からアプローチする」と述べた。
トランプ大統領も韓米日協力の強化を強調しているだけに、韓日首脳が「意気投合」すれば、韓米日協力の構図が持続して発展するとの見方も出ている。
韓米日の枠組みが強固になれば、米国とあつれきがある中国との関係設定が課題として浮上する可能性がある。米国、日本、中国の3カ国の間で、李大統領の国益中心の実用外交が試される形だ。