韓国大統領府は民情首席室の秘書官4人のうち3人について李在明(イ・ジェミョン)大統領が関連する事件の弁護士らを起用する方向で検討を行っている。北朝鮮への不法送金事件の弁護人2人は民情秘書官と法務秘書官、選挙法違反事件の弁護人は公職紀綱秘書官候補として名前が上がっている。大庄洞事件の弁護人も民情首席室に出勤しているという。民情室秘書官は検察や警察などを管理し、大統領を法律面で補佐する要職だ。
韓国大統領府は北朝鮮への送金、選挙法違反、偽証教唆事件などを担当した弁護士についても大統領が指名する憲法裁判官候補として検討している。閣僚級の憲法裁判官は大法官(最高裁判所裁判官に相当)と共に判事としては最高位とされるため、法曹関係者であれば誰もが羨望する地位だ。前政権が尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の元弁護士を憲法裁判官候補として指名したのと全く同じだ。
昨年の総選挙でも大庄洞事件など李在明大統領の司法リスクを担当した弁護士らが共に民主党の地盤で公認され当選した。これと同様のケースが相次いでいることから、弁護士への支払いが公職や公認になっているとの指摘も当然相次いでいる。
李在明大統領の元弁護士だった国会議員らは「標的捜査禁止法」を提出し、さらに法律を誤って適用した判事や検事を処罰する「法歪曲(わいきょく)罪」の成立も目指している。最近裁判所は李在明大統領関連の裁判を相次いで中断しているが、このままでは裁判そのものがなくなるのではないか。
歴代政権は民情首席室を通じて検察を掌握してきた。共に民主党は民情首席室と大法院(最高裁に相当)の「裁判取引疑惑」を過去に指摘したこともある。李在明大統領に対する検察捜査や裁判は5件あるため、野党は「大統領の弁護人」が秘書官として検討されていることについて「民情首席室を大統領防弾用に利用している」と批判した。
もちろん大統領の弁護を担当した弁護士らも公職に就くことはできる。しかし「過ぎたるは及ばざるがごとし」とも言われる。今起こっていることは文字通り度が過ぎていないだろうか。