韓国軍が南北軍事境界線付近での北朝鮮向け宣伝放送を中止したと11日に発表した。北朝鮮による韓国向け宣伝放送が続く中、韓国が先に放送をやめたものだ。
【写真】韓国軍が対北拡声器放送のKポップに合わせて踊る北朝鮮兵の姿を確認
韓国軍消息筋は「11日午後にすべての前線で北朝鮮向け宣伝放送を中止した」とした上で、「南北関係の信頼回復と韓半島(朝鮮半島)の平和に向けた国民への公約を履行するためだ」と説明した。
韓国軍の北朝鮮向け宣伝放送中断措置は韓国大統領室の指示によるものと言われている。李在明(イ・ジェミョン)大統領の就任から1週間で北朝鮮向け宣伝放送をやめたものだ。李大統領は大統領選候補だった時、「9・19軍事合意(文在寅〈ムン・ジェイン〉政権時代の2018年9月19日に行われた南北軍事分野合意)を復元し、北朝鮮に向けたビラまき・宣伝放送を中断すべきだ」との考えを何度も表明していた。
北朝鮮向け宣伝放送は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権だった昨年6月に緊急国家安全保障会議(NSC)常任委員会が開かれ、6年ぶりに再開されていた。当時、北朝鮮の汚物風船が韓国に相次いで飛来していたため、その対応として北朝鮮向け宣伝放送再開というカードを切ったものだ。しかし、今回の措置によって北朝鮮向け宣伝放送は約1年で中止されることになった。
韓国軍当局は固定式の北朝鮮向け拡声器約20台、移動式の北朝鮮向け拡声器約10台を使用しているとのことだ。だが、北朝鮮が汚物風船による挑発を中止した昨年末から固定式の北朝鮮向け拡声器を中心に使用し、移動式の北朝鮮向け拡声器を使った宣伝放送は中止しているという。そうした中、今回は固定式の北朝鮮向け拡声器を使った宣伝放送も全面的に中止することにしたものだ。
韓国軍によると、北朝鮮の韓国向け宣伝放送は同日も続いているという。韓国側が先に北朝鮮向け宣伝放送を中止した形だが、韓国合同参謀本部は「現在まで北朝鮮の特異な動向はなく、反応を注視している」と述べた。
ヤン・ジホ記者