ジョバー・マーケットで30年にわたって衣類の卸売業を営むデービッド・リーさんは「ここはヒスパニック系のスタッフがいなければやっていけない」と話した。縫製工場での裁縫、衣類の入った箱の荷積み・荷下ろし、包装・整理、検収など、骨の折れる仕事に就こうとするのはほとんどがヒスパニック系だからだ。近くにあるコリア・タウンの飲食店もキッチン補助、ホールでの給仕などの業務をヒスパニック系に大きく依存している。ロサンゼルスの韓人料食業会長を務めるマーク・キムさんは「数十年前には初めて移民してきた韓国系の人たちがそのような大変な仕事を引き受けていたが、今は韓国系の住民でそういう仕事をしようという人はほとんどいない」として「韓国系の店主たちが低賃金を理由に不法移民を雇っているのではなく、雇える人材が彼らしかいないからだ」と説明した。ロサンゼルスで韓国系とヒスパニック系は既に経済の運命共同体となっているのだ。
このため、ヒスパニック系を狙った当局の取り締まりは韓国系住民にも大きな影響を与えている。この日、ジョバー・マーケットとコリア・タウンで出会った韓国系の店主約10人は、一様に「不法移民の立場のスタッフだけでなく、永住権を保持しているスタッフも、家族に問題のある人物がいると言われて取り締まりの被害に遭い、無断欠勤している」と説明した。実際に、この日韓国系の衣類卸売商人たちが集中する「シェーン・ペドロ卸売りマート」には、普段は常駐している駐車スタッフも見当たらなかった。商売人のキムさんは「うちの店で品物を購入して小売りしているのもほとんどがヒスパニック系で、彼らは身を隠していて店に来ないので、私たちの売り上げも急減している」と話した。一部では、ヒスパニック系の不法移民を捕らえるために韓国系の店舗を急襲するケースも発生し、そこで働く韓国系の不法移民も捕まるのではないかとの懸念も出ている。現在、ロサンゼルスには不法移民という立場の韓国系住民が数万人いるという。