「両手を携え、より良い未来へ」をキャッチフレーズとする今回の行事で石破首相は「お互いの知見を共有することで、協力できる分野、協力しなければならない分野も数多くあります」「日韓を取り巻く戦略環境が厳しさを増す中であるからこそ、手を携え、より良い未来に向かって共に新たな一歩を踏み出してまいりましょう」と述べた。また「隣人をよく知りたいという人間が持つ自然な気持ち」という言葉を使い「日韓はお互いが、相手国民の渡航先第1位となっていることにも象徴されますように、国民同士の活発な交流が行われておりますが、今や若い世代において、自然体で日韓交流が行われていることに、明るい未来を感じております」と将来に期待を示した。
今回石破首相と共に出席した岸田前首相、菅義偉元首相は昨年の自民党総裁選挙で石破政権発足に貢献した政界の実力者だ。岸田前首相は在任中に尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領と12回にわたり首脳会談を行い、戦後最悪と言われた韓日関係を回復させた。その一方で故・安倍晋三元首相の盟友として知られる菅義偉元首相は「ノー・ジャパン」と呼ばれる日本製品不買運動を進めた文在寅(ムン・ジェイン)元大統領とは1回も首脳会談を行わなかった。岸田前首相は「60年は人間で言えば還暦であり、重要な節目だ」「日韓関係がさらに発展することを心からお祈りする」と述べた。
韓国側からは韓日議員連盟の朱豪英(チュ・ホヨン)国会副議長、金碩基(キム・ソッキ)副会長、閔洪喆(ミン・ホンチョル)幹事長をはじめ、共に民主党から李在汀(イ・ジェジョン)議員、金永培(キム・ヨンベ)議員、徐参錫(ソ・サムソク)議員が、また国民の力からはユ・ジェオク議員、裵賢鎮(ぺ・ヒョンジン)議員、パク・チョンフン議員ら10人が出席した。韓日親善協議会の金泰煥(キム・テファン)中央会長、韓日協力委員会の李大淳(イ・デスン)委員長、韓国経済人協会の柳津(リュ・ジン)会長や現地在住の韓国人、企業経営者なども出席した。
朴喆熙・駐日韓国大使は「この60年間、両国の往来は当初の1万人から昨年は1200万人を超え、貿易規模は2億200万ドル(現在のレートで約290億円、以下同じ)から772億ドル(約11兆2200億円)へと350倍にまで膨れ上がった」「韓国は日本と肩を並べる国に成長した。この60年は成長、成就、成功の歴史と言っても過言ではない」と述べた。
レセプションには東京韓国学校と成城高校の生徒40人以上が韓国語で「故郷の春」を歌い会場を沸かせた。続いて韓日の合唱団が「忘れ難きふるさと」という歌詞の日本の歌「故郷」を日本語で歌った。まだ10代の合唱団の後ろには1965年12月18日にソウルで開催された韓日基本条約批准当時使われたハングルのびょうぶが置かれていた。
韓日関係の次の課題については「シャトル外交の再開」という声が上がっている。昨年9月に当時の岸田首相が韓国を訪問して以来、韓国側からの訪問はいまだに実現していない。次は韓国の大統領が日本を訪問する番だが、一方で石破首相が先にソウルを訪問するとの見方も浮上している。米国のトランプ大統領との会談が最優先の李在明大統領の立場を日本が理解するという前提での話だ。今年8月末から9月中旬ごろに石破首相がソウルを訪問し、その後李在明大統領が東京で開催予定の韓中日首脳会談の際に日本を訪問する方向で韓日両国が調整を行っているという。
東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員