首相候補・韓悳洙に1090件の資料提出を求め、次期首相候補・金民錫は不問に付す共に民主党のネロナムブル【6月20日付社説】

 韓国与党・共に民主党が19日、「金民錫(キム・ミンソク)首相候補者に対する粗探しは度が過ぎる」として、人事聴聞会法の改正を進めると明らかにした。金民錫候補者を巡る疑惑を提起した野党・国民の力に対しては「内乱(非常戒厳宣布)同調の延長線になってはならない」とも言った。だが、首相候補者の検証が非常戒厳宣布と何の関係があるというのだろうか。

【表】次期首相候補・金民錫巡る疑惑まとめ(6月18日現在)

 金民錫候補者を巡る疑惑は複雑なものではない。5年前にマイナス5億8000万ウォン(現在のレートで約6100万円)だった資産が現在はプラス2億1500万ウォン(約2300万円)と約8億ウォン(約8400万円)増えたものの、同候補者が申告した収入内訳では説明がつかないということだ。その間に数億ウォン(数千万円)の追徴金を払ったり、教会への献金もしたりしていた。だが、同候補者の収入は年間約1億ウォン(約1100万円)の国会議員歳費以外には確認されていない。国税庁に申告された「その他所得」も1000万ウォン(約110万円)にもならないということだ。こうした疑惑は、金民錫候補者が所得証明などの資料を提出さえすれば、そのほとんどが解決できるが、まだ資料を提出していない。金民錫候補者が中国の大学で取得した学位を巡る疑惑も、出入国記録で早期に解消できるはずだ。

 共に民主党は3年前、国民の力所属の韓悳洙(ハン・ドクス)首相候補者の聴聞会時、合計1090件の資料提出を要求した。死去して30年以上もたつ両親の全ての不動産取引明細、50年間にわたる給料明細、出張の全記録、10年間分のクレジットカード使用明細など、提出が事実上難しい資料も多かったが、「不誠実にも資料を提出しなかった」と言って、共に民主党は聴聞会そのものをボイコットした。ところが、今回は金民錫候補者が所得証明資料を出していない状況なのにもかかわらず「資産が2億ウォン(約2100万円)ならばクリーンに暮らしているのではないか」と言った。それだけにとどまらず、野党の聴聞委員の資産を問題視し、逆攻撃まで仕掛けてくる始末だ。これは自己矛盾であり、ネロナムブル(私がすればロマンス、他人がすれば不倫=身内に甘く、身内以外に厳しいこと)だ。

 国民の力も度が過ぎている。金民錫候補者の前妻を聴聞会の証人として申請する案を推進中だというが、検証ではなく恥さらしに近い。

 2000年に導入された人事聴聞会だが、韓国の政治の両極化により政争の場と個人攻撃に変質したと指摘する声が多い。このため、改善策を見いだす必要があるだろう。だが、共に民主党も国民の力も、自分たちが政権を執った時は「道徳性検証は非公開、政策検証は公開」を主張し、野党になるとその逆を行く。これぞまさにネロナムブルだ。

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  • ▲金民錫(キム・ミンソク)首相候補者。写真=NEWSIS

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