次期首相候補・金民錫の疑惑を国会で検証する朱晋佑議員が首相候補なのか【6月24日付社説】

　韓国野党・国民の力が金民錫（キム・ミンソク）首相候補者の資産関連疑惑に対する検証に着手するや、政府・与党が国民の力に対して逆攻勢をかけ始めた。党代表選挙に名乗りを上げた与党・共に民主党の朴賛大（パク・チャンデ）議員は「あなたたちの中で罪を犯したことのない者がまず石を投げよ」という聖書の言葉を引用し「国民の力は一線を越えてはならない」と述べた。共に民主党の鄭清来（チョン・チョンレ）議員も「あいつらは金民錫を揺さぶることで、もう李在明（イ・ジェミョン）政権を倒そうとしている」と言った。

　5年前にマイナス5億8000万ウォン（現在のレートで約6200万円、以下同じ）だった金民錫候補者の資産は現在2億1500万ウォン（約2300万円）へと約8億ウォン（約8500万円）増えたが、公開された収入の内訳では説明がつかない。いくら理解しようとしても常識では納得できない。聴聞会での釈明が必要であり、その上で国民の判断を求めなければならない。ところが、共に民主党はそうせずに「お前たちは清廉なのか」「政権に揺さぶりをかけている」ととんでもない逆攻勢をかけている。今やっているのは首相候補者の聴聞会なのか、それとも国民の力の聴聞会なのか。李在明大統領も先日の与野党指導部会合で、金民錫候補者問題に言及した国民の力の非常対策委員長に「あなたは自分がたたかれても何も出てこないのか」と言ったそうだ。

　共に民主党は、金民錫候補者の疑惑を検証している国民の力の朱晋佑（チュ・ジンウ）議員に対して、同議員の資産はもちろん、20代の息子の資産疑惑まで取り沙汰している。共に民主党は朱晋佑議員の父親が検事だったという経歴まで非難している。人事検証を受ける立場の人々が、検証する立場の聴聞委員を検証すると脅すなどということは前例がない。朱晋佑議員は首相候補者なのだろうか。共に民主党は、検察が金民錫候補者の資産関連告発事件をソウル中央地検に割り当てるや、「検察の最後の横暴」と言った。告発事件での割り当ては機械的手続きであり、しなければそれこそ職務放棄だ。今や検察人事権まで握るようになった政権与党が、まるで検察弾圧を受ける弱者であるかのように振る舞っている。

　共に民主党は大統領の権力に加え、立法府である国会で200議席近い議席を確保している。立法も人事も予算も自分の思い通りにできる過去最強の権力だ。「親明（李在明派）」一色なので内部のけん制もない。このような権力者たちは、自分たちの弱点が少しでも明るみに出ると、それを指摘する人々を猛非難し、かみ付く。野党だった時はともかく、今や強大な政権与党になったのだから、より分別のある態度を取るべきだ。