ソウル地下鉄5号線の車両に火をつけたとされる67歳の男が身柄を拘束された状態で起訴された。
【写真】床にガソリンまいてライターで点火 あっという間に車両内に炎が広がる様子
ソウル南部地検刑事第3部(孫尚希〈ソン・サンヒ〉部長検事)は25日、殺人未遂と現存電車放火致傷、鉄道安全法違反の容疑が持たれている男(67)を25日に拘束起訴したと明らかにした。警察は現存電車放火致傷容疑だけを適用してソウル南部地検に送検したが、検察は殺人未遂と鉄道安全法違反を追加して男を起訴したものだ。
検察によると、男は先月31日午前8時42分ごろ、ソウル地下鉄5号線の汝矣ナル駅を出発し、麻浦駅方向に走行していた車両内でガソリンを床にまき、火をつけて自身を含む乗客160人を殺害しようとしたが未遂に終わり、乗客6人を負傷させた容疑が持たれている。犯行当日、この地下鉄車両には計481人が乗っていたが、検察はこのうち、現時点で人的事項が確認されている160人だけを被害者とみなした。人的事項が追加で確認されれば、被害者がさらに増える可能性があると検察では説明している。
男は妻との離婚訴訟で先月14日に敗訴し、財産分与で不利な状況になるや、これに不満を抱いて犯行に及んだことが捜査で分かった。男は「『公共交通機関である地下鉄に放火すれば、社会的に大きな関心が集まるかもしれない』という考えから放火をした」と供述した。
検察は、男の犯行には計画性があったとみている。犯行10日前の先月21日にはガソリンスタンドでガソリンを事前に購入し、犯行前日の午前8時58分から午後5時43分まで地下鉄1号線の永登浦駅、2号線の三成駅、4号線の三角地駅などを回りながら犯行機会を探っていたことが確認されたためだ。男は犯行前、身辺整理のため定期預託金と保険控除契約を解約するなど全財産を整理した上で、これを親族に送金していたことも明らかになった。
検察は「不特定多数の乗客が利用する地下鉄に大量のガソリンをまいた後、火をつけて大規模な火災を起こし、有毒ガスを拡散させるのはテロに準ずる殺傷行為だ」「避難が遅れていたら、人命被害が発生する可能性が非常に高かった」と述べた。その上で、「特に、ガソリンがまかれた床で乗客の妊婦が滑って転倒し、まだ避難できていなかったのにもかかわらず、被告人は構わずにライターでガソリンに火をつけるなど、殺人の意図が客観的にも確認されている」と強調した。
キム・ビョングォン記者