金於俊のコンサートに集まった元大統領・首相候補・現職国会議長【7月2日付社説】

 左派系ジャーナリスト金於俊(キム・オジュン)氏が企画し、主人公として登場するコンサートに、文在寅(ムン・ジェイン)元大統領をはじめとする元職・現職の実力者らが多数出席した。権力者らが集まるだろうと分かっていたのか、「ザ・パワフル」と名付けられたこのコンサートは先週、大型リゾートの公演場を利用して3日間にわたり開催された。演出は、文在寅政権で大統領府の秘書官を務めていた卓賢民(タク・ヒョンミン)氏が行った。金於俊氏と卓賢民氏は昨年4月の総選挙直前にも、同じ場所でコンサートを開いた。文・元大統領はコンサートで「金於俊さん、『兄さん』と呼んでみて」と呼びかけ、金於俊は「兄さん」と応じた。

【写真】リゾート公演場でのコンサートでステージ中央に座る金於俊氏

 金於俊氏のコンサートは基本的に、商業目的のものだ。金於俊氏は、支持者が出したカネで数十億ウォン(数億円)の収益を得たという。それ自体は問題になるものではない。だがここに、収賄で起訴された元大統領を筆頭に李在明(イ・ジェミョン)政権の初代首相候補者や現職の国会議長、そして政権与党の党代表候補までもが一斉に出席するというのは別の問題だ。

 金於俊氏はかつて、哨戒艦「天安」座礁説やセウォル号故意沈没説、そして大統領選挙における不正選挙陰謀論を主張した。昨年12月の非常戒厳の直後には、国会に出てきて「政治家暗殺班疑惑」や「米軍の北爆誘導疑惑」を提起した。しかし彼は、自分が提起した数多くの陰謀論で社会的物議を醸しておきながら、ほとんど証拠を提示できなかった。金於俊氏が陰謀論を言いふらせば言いふらすほど、進歩(革新)系の「共に民主党」支持層からの同氏に対する支持は高まり、それに伴って政治的・金銭的利得が同氏のところに入ってきた。金於俊氏の陰謀論について「かなりの虚構」だとする報告書を出した民主党議員は、最終的に金於俊氏の番組に出て謝罪した。

 文・元大統領は今年4月、元娘婿の特別採用疑惑に関連して収賄容疑で起訴された。自分の裁判を前に、民主党支持層に大きな影響力がある金於俊氏のコンサートに出席したのだ。首相候補者は民主党所属だが、首相になった後は党派を問わず韓国国民全体の立場から行政府を率いねばならない。

 国会議長も民主党出身だが、政治的中立のために離党した。新政権で行政府と立法府を指揮すべき首相候補者と国会議長が、陰謀論やフェイクニュースを量産してきた特定陣営のスピーカーのイベントに競うように集まるのは適切ではない。与党内において金於俊氏の影響力が絶対的だとしても、首相と国会議長の行動は慎重であるべきだ。このコンサート会場の様子が新政権を象徴するシーンにならないことを望む。

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