韓国与党・共に民主党は「恥を知らない」と思うことがよくある。言葉と行動がいつも矛盾していながら、顔色一つ変えることもない。ネロナムブル(私がすればロマンス、他人がすれば不倫=身内に甘く、身内以外に厳しいこと)が完全に彼らの体質に見えることもある。そう思わせる事例は一つや二つではないが、今回の韓国大統領府特殊活動費の問題では文字通り「恥を知らないし良心もない」と言わざるを得ない。
李在明(イ・ジェミョン)大統領は共に民主党代表だった昨年11月、国会予算特別委員会で韓国大統領府の特殊活動費82億ウォン(現在のレートで約8億7000万円、以下同じ)を全額削減させ、これを「無駄な予算」と批判した。ところが自分たちが政権を握ると180度態度を変え「特殊活動費は絶対に必要だ」としてこれを復活させようとしている。共に民主党は4日に採決を予告している追加の補正予算案の中に、わずか7カ月前に自分たちが全額削減した大統領府特殊活動費を再び入れようとしている。
予算決算特別委員会小委員会の審査資料によると、共に民主党の趙承来(チョ・スンレ)議員は「特殊活動費の復活が必要」とした上で「特殊活動費は大統領秘書室と国家安保室の活動の中で、国益や安全保障などと関係する高度の機密が求められる活動に直接使われる経費だ」「円滑な国政運営のためには増額が必要だ」と主張した。具体的な額には言及しなかったが、共に民主党議員らはこれに同調しているという。多ければ数十億ウォン(数億円)単位の特殊活動費を復活させる見通しだ。「無駄な予算」が突然「絶対に必要な予算」に変わったのだ。
特殊活動費は国家財政法第44条で「政府の特殊な活動を支援するための費用」とされている。大統領が有功者らに与える金一封、激励金、祝儀、弔慰金、餞別(せんべつ)なども特殊活動費から支出され、出所を公表できない安保室の機密活動にも使われる。国政において疎外されやすく目立たないところに使うという趣旨で配分されるものだが、共に民主党はこれを全て削減したのだ。
李在明大統領は当時、削減に対して国民の力が反発した際「特殊活動費をなくしたからといって国が運営できないとすれば、これは非常に当惑する話だ」と主張した。共に民主党の朴賛大(パク・チャンデ)院内代表も「大統領府の特殊活動費を削減しても国政はまひしない」と発言した。ところが共に民主党は自分たちが使う国会特殊活動費9億8000万ウォン(約1億円)や特定業務経費185億ウォン(約20億円)は全て残しておいた。共に民主党は特殊活動費の復活について「大統領府が説明し透明な手続きを踏めばよい」と言い逃れをしているが、過去に全額削減したことについては何も語ろうとしない。
誰が政権を握っても特殊活動費は必要だ。共に民主党もこの事実を知りながら、相手に打撃を加える政争の次元で全額を削減したのだ。今になって主張を変えその資金を使いたいのであれば、まずは謝罪でもすべきではないのか。それが最低限の恥を知ることであり良心だ。