米国も開発を諦めたレールガン…日本の海上自衛隊は実験運用中

膨大な電気エネルギーを瞬間的に放出し、金属の発射体を音速の6.5倍のスピードで飛ばす

米国は電力供給・冷却システムの大型化、砲身の摩耗などを考慮して開発を放棄…レーザー兵器を選択

■米国はなぜレールガンを諦めたのか

 レールガン発射時に数MJの電気エネルギーを瞬間的に放出するためには大型の蓄電装置、高電力発電機、冷却装置などが必要だ。しかし米国は、こうした大型構造物を現在の軍艦に搭載するのは空間の確保や安定的な電力供給などの面で問題が多いと判断し、21年末に開発を中止した。試験艦に搭載して実射撃をしたことはない。

 また、レールの間を通過する際に発生する高温と摩擦、電磁気場によって砲身が急激に摩耗するため、米海軍の試作品は数十発を発射した時点で砲身を交換しなければならなかった。これは、実戦において持続的な射撃が不可能であり、整備・保守の負担が過度に大きく、精度は落ちるという短所があることを意味する。

 また、レールガンの理論上の射程は200キロ以上だったが、実際のテストでは110-180キロにとどまった。レーダー誘導やGPS(衛星利用測位システム)誘導が難しく、ミサイルのように正確にターゲットに当てることも難しかった。そのため、「超高速で飛んでいく鉄片」に過ぎない、という批判が生じた。

 米国はレールガンの代わりに、電力の消耗は同じくらい多いがリロード(再装填〈そうてん〉)の必要がないレーザー兵器を次世代兵器開発の中心に据え、レールガン専用の超高速発射体は既存の砲システムで活用する案を模索している。

 しかし日本の防衛装備庁サイドは、今年5月に東京で開かれた国際防衛装備展示会「DSEI Japan 2025」のパネルディスカッションで「開発は進展しているが、幾つかの挑戦課題がある」「実戦配備の段階に近づくにつれ、米国との協力範囲も拡大すると信じている」と語った。

 レールガンは日本のほかにも韓国や中国、トルコ、フランス、ドイツも開発している。韓国は2010年代半ばから国防科学研究所の主導で開発をスタートさせ、17年に初期型のレールガンの発射動画を国防部(省に相当)の国政監査で公開したことがある。

 軍事メディア「ウォー・ゾーン」は「試験艦『あすか』に搭載されたレールガン原型(プロトタイプ)の実射撃の結果によっては、日本が世界で初めて海上レールガンを実用化する国になるかもしれない」と伝えた。

李哲民(イ・チョルミン)記者

【写真】試験艦「あすか」に搭載された電磁気レールガン

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