韓国と日本はいずれも米国にとって重要な同盟国だが、今はどちらもトランプ大統領による通商圧力の最優先「ターゲット」となり困難な状況に追い込まれている。「同病相哀れむ」の状況だが、両国が頭を痛める要因は完全に異なる。韓国は米国の閣僚と会うこともできずじだんだを踏む状況だが、日本は世界のどの国よりも米国と高官レベルでの協議を重ねながら、成果が全く得られない状況だ。
【表】日本(25%)は「上方修正」 韓国(25%)は「維持」…14カ国に通告された米相互関税
■米国政府高官との窓口がない韓国
韓国政府は米国の主要閣僚との窓口や接点を増やせない状態が続いている。韓国大統領府の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安全保障室長を6日に急きょ米国に派遣したが、魏聖洛室長と米国のルビオ国務長官との会談は非常に短時間で終わったという。魏聖洛室長はベッセント財務長官との会談も希望したが実現しなかった。呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長はラトニック商務長官と2回会ったが、交渉での進展は見られなかった。
複数の問題を一括して妥結できる首脳間の交渉は事実上全く行われていない。李在明(イ・ジェミョン)大統領は就任後に行われた20分間のトランプ大統領との電話会談の他は一切話し合いを行っていない。当初はカナダでのG7(先進7カ国)首脳会議で会談の実現が期待されたが不発に終わり、その後は電話会談なども行われていない。首脳会談実現の見通しは今も不透明な状況が続いている。
米国との外交交渉を担当する韓国外交部(省に相当、以下同じ)長官、またベッセント財務長官と交渉する企画財政部長官もいまだに空席だ。かつて国連大使などを歴任し今回外交部長官に指名された趙顕(チョ・ヒョン)氏、また経済副首相兼企画財政部長官に指名された具潤哲(ク・ユンチョル)氏(ソウル大特任教授)に対する国会人事聴聞会は今月17日に行われる予定だ。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権で任命された趙賢東(チョ・ヒョンドン)駐米大使は李在明政権発足後、首脳会談に向けた交渉など主要な業務から排除されているという。李在明大統領からの親書を米国に届ける特使派遣も準備しているが、トランプ大統領が経済と安全保障の両面で圧力を強める今の状況では特使だけで目に見える成果を出すのは難しそうだ。李在明大統領は米国への特使として金鍾仁(キム・ジョンイン)元国民の力非常対策委員長、李彦周(イ・オンジュ)共に民主党最高委員、キム・ウヨン議員を検討中だが、3人はいずれも関税交渉や安全保障問題に特に詳しいとは言い難い。韓国大統領府関係者も「現時点で特使訪問の日程は決まっていない」と伝えた。
韓国が米国の関心の外に追いやられるとの懸念も浮上している。トランプ大統領は各国の首脳と対面あるいは電話会談を行った際にはSNS(交流サイト)の「トゥルース・ソーシャル」でたびたびその内容を公表しているが、李在明大統領との電話会談には全く言及しなかった。