カンボジアが韓国人犯罪者逃亡先1位になった二つの理由【独自】

 詐欺や拉致、殺害など凶悪犯罪を日常的に行う国際組織は、これまで中国、ラオス、ミャンマーなどが主な本拠地だった。しかし、これらの国々で取り締まりが厳しくなると、相対的に取り締まりが緩いカンボジアに押し寄せている。長期独裁体制、警察人材の不足などが複合的に作用し、「カンボジアは犯罪に寛大な国」という認識が全世界に広がっている。

 フン・セン元カンボジア首相は1997年にクーデターで政権を握った後、「絶対権力」を享受してきた。2023年に首相職を退いたが、息子のフン・マネット現首相が後を継いだ。現地在住韓国人の間では、韓国から来た犯罪組織がカンボジアの独裁政権と緊密に接触し、逃亡犯罪者の面倒を見ているという話も聞かれる。

 現地に派遣された韓国の警察人材の不足も韓国の犯罪者を引き寄せる要因となっている。カンボジアには「コリアンデスク」(韓国人犯罪担当警察官)がいない。派遣警察官2人が大使館に勤務しているが、リアルタイムで犯罪に対応するのは非常に困難だ。現地在住韓国人は「カンボジア警察は通報後、出動まで早ければ半日、遅ければ3日以上かかる場合がほとんどだ」と話した。

 ここ1~2年は中国系犯罪組織も現地で過激化し、彼らに拉致・監禁される韓国人も急増している。「特別なスキルがなくてもカネを稼ぐことができる」という求人広告を見てカンボジアに向かって監禁され、ボイスフィッシング組織の一員として電話をかけさせられるなど犯罪に巻き込まれている。一部は拷問まで受けているほか、中国人が作成したボイスフィッシングの台本を韓国語に翻訳しているところを救出されるケースもあった。人権団体アムネスティ・インターナショナルは先月末に発表した報告書を通じ、カンボジア全土で53カ所の『詐欺拠点』が確認されたとし、「全世界を対象に犯罪を行っているが、カンボジア政府はそれを放置している」と指摘した。

 カンボジア現地の犯罪被害が急増し、韓国警察は対策に乗り出した。韓国警察庁は最近、カンボジア警察の捜査官を韓国に招き、サイバー捜査研修を実施している。また、来年から2030年まで1350万ドル(約19億5000万円)を投資し、カンボジア警察の科学捜査レベルを向上させる支援事業も実施する予定だ。一連の支援を通じ、現地警察に相互協力の強化を求める計画だ。

イ・ギウ記者

【グラフィック】カンボジアに逃亡した韓国の犯罪者数

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