李在明(イ・ジェミョン)大統領が法制処(中央官庁の一つ)の処長に弁護士の曺源徹(チョ・ウォンチョル)弁護士を任命した。曺源徹氏は李大統領と司法研修院同期であり、大庄洞事件や偽証教唆事件の弁護人を務めた。法制処は法律に対する有権解釈をする機関で、法令審査など政府の立法活動を調整する。利害衝突(利益相反)を調整する有権解釈権限があるため、政治的中立性も求められる。
共に民主党は前政権時、当時の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が大学と司法研修院の同期だった李完揆(イ・ワンギュ)弁護士を法制処長に任命すると「尹錫悦の法律的護衛武士だ」と批判した。李完揆氏も尹前大統領が検察総長(検事総長)の時に起こした懲戒処分取り消し訴訟の法律代理人を務めたので、同氏が法制処長に任命されるや、利害衝突問題が取り沙汰された。その共に民主党と李大統領が政権を握ると、尹前大統領と同じく司法試験の同期であり、自身を弁護した人物を法制処長に任命した。共に民主党は「ネロナムブル(私がすればロマンス、他人がすれば不倫=身内に甘く、身内以外に厳しいこと)」が体質化し、今は何の問題意識も感じないようだ。
李大統領は野党代表だった時から現在まで、自身の事件関連の弁護人を国会や行政府、大統領室の要職に起用し続けてきた。昨年の総選挙時には李大統領の事件の弁護人4人が公認を受け、国会議員になった。大統領選挙後は大統領室の民政・公職綱紀秘書官や行政官に任命し、北朝鮮への送金事件の弁護人は国家情報院の企画調整室長に起用された。国会、行政府、そして大統領職引き継ぎ委員会の役割をする国政企画委員会を含めれば、李大統領の事件の弁護人12人が国政の随所に布陣したことになる。大統領室は「大統領の事件があまりにも多いので、弁護団に含まれている方も非常に多い。法律諮問をしたという理由で公職から排除することはできない」としている。
李大統領が受けてきた五つの裁判は大統領就任と同時に事実上中止されたが、退任後は裁判再開が原則だ。そのため、立法府と行政府、大統領府の随所に李大統領の弁護人だった人物を配置したことは、結局、大統領の防弾用ではないかとの疑惑を持たれても仕方ない。追加で公職に任命される大統領弁護人の名前も既に取り沙汰されている。
前政権時は大統領に近い検察出身者の過度な公職進出が批判されたが、今は大統領弁護士がさまざまな分野に過度に起用されている。世間で「『尹錫悦師団』が廃業したので、『李在明法律事務所』が開業した」という話が飛び交っているのも、このためだろう。