「日本は4000億ドル出すのに…」 米国、通商交渉の場で韓国に大規模投資ファンド設立を要求

数百兆ウォン規模の巨額投資、政府は交渉に苦心

 対米投資ファンドの設立は、米日関税交渉においてまず日本が提案した案であることが分かった。今年5月、英フィナンシャル・タイムズ紙は「両国の交渉の過程で、トランプと近い孫正義ソフトバンク会長が、スコット・ベッセント財務長官にファンド設立を提案した」と報じた。当初提案されたファンドの規模は3000億ドル(約45兆円)のラインだったが、両国の交渉の過程で4000億ドルに規模が上方修正されたと伝えられている。トランプ大統領としては、巨額の投資を誘致したという成果と共に自国の製造業強化という目的を達成し、日本は自動車の品目関税の減免や免税など関税交渉において有利な結果を得るカードというわけだ。

 問題は、米国が韓国に期待している規模だ。韓日の対米貿易黒字の規模は同程度という点から、米国は韓国に対し、日本が提案したのと同じ水準のファンド設立を望んでいるという。韓日の経済規模の差、対米直接投資額の格差を考慮すると、韓国政府としては容易には受け入れられない金額だ。だからといって日本に比べてはるかに少ない規模を提示した場合、米国を説得するのは難しいということもあり得る。韓国政府は7月15日、適正なファンドの規模や財源の準備案、投資分野について議論したと伝えられている。

■「ウィンウィン(双方に都合が良いこと)の戦略にできるか」苦心

 ファンドを立ち上げて製造業の対米投資・進出を支援し、その見返りとして各種関税をできる限り下げることができれば、韓国としても悪くないという分析が出ている。国内市場の需要は限界に達し、グローバル市場では中国の安値・物量攻勢が激しい状況において、韓国企業の米国進出に投資することは関税引き下げだけでなく将来の成長においても必要、というのだ。

 ある匿名の専門家は「韓国企業各社も、国内で生産して海外に輸出する構造から脱し、現地で生産・販売する『市場進出型投資』に転換している」「各社は利益が期待されるプロジェクトを選んで投資を決めるだけに、これを後押しするためのファンドの設立は、政府の立場からも単なるコストや支出ではない」と語った。ただしこの場合、国内産業の空洞化が加速するだろう、という懸念もある。

 一方で韓国政府は今週、聴聞会を経て企画財政部と産業通商資源部の長官が就任したら、できるだけ早い時期に米国のベッセント財務長官、ラトニック商務長官との「2プラス2通商交渉」を再開する案を進めているという。しかし農畜産物市場開放の拡大など米国の貿易障壁緩和要求が厳しく、天文学的規模のファンド設立という難題まで加わり、交渉は難航が予想される。最悪の場合、8月1日というリミットを越えることもあり得るという見方も出ている。呂翰九本部長も7月14日、取材陣に「時間のせいで実利を犠牲にすることはしないようにする」と語った。

崔銀京(チェ・ウンギョン)記者、チョ・ジェヒョン記者

【表】米側から韓国への要求事項

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