尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領弾劾反対集会で注目を集めてきた予備校の韓国史講師チョン・ハンギル氏が韓国野党・国民の力に入党していた事実が伝えられ、党内で混乱が起こっている。国民の力非常対策委員長を務めた金竜泰(キム・ヨンテ)議員は「入党を直ちに拒否すべきだ」と求めているが、党執行部は「入党を拒否する制度はない」との立場だ。
チョン・ハンギル氏は14日「尹アゲイン」の関係者を中心に立ち上げられた「リセット・コリア国民運動本部」発足式に出席し「正式に発表する。私も国民の力に入党した」と明らかにした上で「選出職には出馬しない。保守右派勢力が成功するようひたすら後押ししたい」との考えを示した。
これについて同党の鄭点植(チョン・ジョムシク)事務総長は17日午前、国会で記者団の取材に応じ、チョン・ハンギル氏入党の事実を伝えた上で「(チョン・ハンギル氏は)金竜泰(キム・ヨンテ)議員が非常対策委員長だった6月9日に入党した」「(党中央が)入党を拒否する制度はない」とした上で「オンラインで入党した場合、党中央で具体的に判断する方法はない」と述べた。
国民の力の尹喜淑(ユン・ヒスク)革新委員長も同日「(チョン氏の入党を)阻止することはできないだろう」としながらも「個人の声を大きくすることは政治家の役割で、その政治家たちの行為がわが党をさらに危うくする」との考えを示した。
これに対して金竜泰・元非常対策委員長はフェイスブックを通じ「チョン・ハンギル氏をはじめとする戒厳擁護勢力の国民の力入党は認められない」「党執行部は党憲・党規に基づいて党員資格審査委員会を開き、国民の力の周囲に姿を現せないよう決断せよ」と主張した。
金竜泰・元非常対策委員長はさらに「国民の力は憲法精神を守る健全な保守政党だ。わが党は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領夫妻や啓蒙(けいもう)令などの言葉で戒厳を擁護する過激な勢力とは絶縁すべきだ」「彼らは保守ではなく似而非(えせ)保守だ」などとした上で「宋彦錫(ソン・オンソク)非常対策委員長兼院内代表には戒厳擁護勢力の入党を直ちに拒否するよう求める」「反憲法勢力との絶縁なしには党の改革や正常化は不可能だ」とも訴えた。
国民の力の安哲秀(アン・チョルス)議員も前日フェイスブックを通じ「尹前大統領がいなくなったので、今ユーチューブ講師を連れてきて親ギル(チョン・ハンギル氏)系を立ち上げたいのか」「親ギル党代表、親ギル院内代表で党を内乱党、戒厳党、尹アゲイン党へと完全に沈没させるつもりか」と主張した。
安哲秀議員はさらに「戒厳軍が入り込んだ国会で戒厳令を擁護し、尹前大統領の復権を叫ぶ人たちが集会を開いてこれに参加する姿は、自らを『革新の対象』と宣言するようなものだ」「そんなに尹前大統領の精神をたたえたいのなら、ソウル拘置所の前で集会を開いた方がいい」とも指摘した。
チェ・ヘスン記者