■「軍を依然掌握…側近粛清で恐怖政治」
郭氏は中央軍事委で張又侠副主席が河威東副主席や苗華政治工作部主任ら習主席の側近を粛清し、軍権を掌握したという説についても疑問を投げかけました。郭氏は「中央軍事委は主席責任制を導入し、軍事委主席である習近平が一言ですべてを決定できる体制だ。軍事委員数人が粛清されたことは何の問題もない」と指摘しました。
蔡文軒研究員は側近の粛清を習主席の統治術と分析しました。「側近まで粛清する恐怖政治で高級幹部に対する統制を強化しようとする春秋戦国時代の法家的統治術だ」と語りました。
共産党の幹部養成機関、中央党校の機関紙「学習時報」記者や副編集委員を務めた在米評論家の鄧聿文氏も7月7日、ドイツ公共放送ドイチェベレへの寄稿で「失脚説は中国政治の根底にある論理をきちんと知らないために出てくるデマだ」と述べました。習主席の体制に対する反感と失脚に対する期待感が再生数を上げるための中華圏の個人メディアの刺激的な報道、米元官僚の発言などと相まって、まるで現実かのような錯覚を呼び起こしているとしました。
■「溜まった不満のはけ口」
鄧氏は「中国の政治体制は西側のように透明ではないが、失脚が事実なら礼遇の格下げ、官営メディアによる報道基調の変化、政治スローガンの見直しなどの現象が表れる。そのような兆しは全くない」としました。新華社が7月6日、生態文明に対する習主席語録を盛り込んだ「習近平生態文明文選」という本が出版されたことを大きく報じた点にも言及しました。
失脚説が絶えないのは、経済難など習主席の失政に対する中国内部の不満がそれだけ大きいためだという分析もあります。上海出身で英国籍を持つ台湾在住の作家、汪浩氏は7月7日、フェイスブックへの投稿で「根拠が不足しているにもかかわらず、習近平の健康悪化説、政変説などが出続けているのは、中国政治の不透明性と中国社会の不安を反映している」とし、「経済難と相次ぐ粛清、長期政権、言論圧迫などに対して高まった不満のはけ口がうわさだ」としました。
崔有植(チェ・ユシク)記者